研究課題/領域番号 |
24760723
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
大久保 猛 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 放射線高度利用施設部, 研究員 (40446456)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | イオンビーム / マイクロビーム / ナノビーム / 量子ビーム / 加速レンズ |
研究概要 |
本研究の全体構想は、ビームの加速・集束を同時に行う加速レンズにおいて、レンズ前後のビームエネルギー比を一定にしたまま照射を行う技術を開発して、ビーム集束を保持したままビームエネルギーを迅速に変化させることが可能な3次元微細加工用小型ガスイオンナノビーム装置を実現することである。 研究実施計画に基づいて、初年度にあたる平成24年度は、300kV用3段加速レンズ系において加速レンズの加速前と加速後のエネルギー比を一定に保てばビーム集束が保持される、即ちビーム径が変化しないことを実験的に確かめるため、水素イオンビームの集束実験を行った。この実験は予備的なものであることから、昇電圧部に設置された電源機器等の放電による故障を避けるために、定格の300kVよりも低い電圧領域で行うこととした。そこで、ビームエネルギーとして100keV, 120keV, 140keVの3点を選択し、第3加速レンズに対する入射ビームエネルギーをそれぞれに対して同じ割合になるように設定した。その結果、3点のビームエネルギーいずれにおいても、ビーム径20μm程度が維持されることを確認した。これによって、三次元微細加工に向けた加速レンズ系のエネルギー連続可変性を実証できた。なお、この成果について、国際会議CAARI2012において発表し、既に論文がアクセプトされている。 その後、本研究で行う高電圧実験に不可欠であるモータージェネレーターが破損し、修理を伴う実験体系の再構築を行った。このため、当初計画にあったビーム進行方向に対して垂直な方向(横方向)へのビーム走査システムの構築、それに必要な物品の購入費用を次年度に繰り越すことにしたが、全体計画への影響を極力少なくするため物品の選定等を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究実施計画のうち、三次元微細加工に向けた加速レンズ系のエネルギー連続可変性を実証する実験については、計画どおりに実行した上に十分な成果を得ることができた。一方、横方向のビーム走査システムの構築については、実験機器の破損によって若干の遅延を余儀なくされたが、購入物品の選定等は既に済んでおり、次年度の開始とともに速やかに実行することによって、平成25年度の計画どおりに研究を進めていくことができる。
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今後の研究の推進方策 |
横方向ビーム走査システムを構築し、ビームエネルギーを変えながら(縦方向走査)イオンビームを照射する3次元ビーム走査システムを構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
横方向ビーム走査システムに必要な物品を購入する。 ビームエネルギーを変えながら照射するシステムに必要な物品を購入する。 得られた成果を学会等で発表するための出張旅費等として使用する。
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