研究課題/領域番号 |
24760723
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
大久保 猛 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部, 研究員 (40446456)
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キーワード | マイクロビーム / イオンビーム / ナノビーム / 3次元加工 / 加速レンズ |
研究概要 |
本研究の全体構想及び目的は、ビームの加速・集束を同時に行う加速レンズにおいて、レンズ前後の加速電圧比を一定にすることで、ビーム集束を保持したままビームエネルギーを迅速に変化させることが可能な3次元微細加工用小型ガスイオンナノビーム装置を実現することである。昨年度は加速電圧比を一定にした場合にビーム集束が保持されることを確認した。 本年度研究実施計画は、ビーム進行方向(縦方向)に対して垂直な方向(横方向)へのビーム走査システムを構築して横方向分解能が1μmレベルのビーム照射システムを開発することである。最初に、横方向へのビーム走査システムの構築を行った。次に、ビームの横方向走査システムによってビーム径計測に要する時間をこれまでの数十秒程度から数秒程度に短縮することができた。これにより、レンズ系の電圧パラメータサーベイの時間が短縮され、パラメータの最適化を効率的に行うことを可能にした。その結果、昨年度は最小20μmであったビーム径を最小4μmに縮小化することに成功した。目標とした横方向分解能に必要なビーム径1μmには届かなかったものの、パラメータの最適化は現在も進行中であり次年度での到達は十分に可能である。以上、本年度の計画はほぼ達成された。 なお、本研究課題で実証された加速レンズ系のエネルギー連続可変性に関する論文が、AIP Conference Proceedingsに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究実施計画のうち、横方向のビーム走査システムの構築については、計画どおりに実行することができた。一方、横方向の微細な分解能に必要なビーム径1μmは達成できなかったものの、効率的なパラメータの最適化が可能となっており、次年度には十分に到達できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
パラメータの最適化によってビーム径1μmを早期に達成し、ビームエネルギーを変えながら(縦方向走査)イオンビームを照射する3次元ビーム走査システムを開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
横方向走査実験によるビーム径1μmへの集束が若干遅れているため、縦方向走査用物品の購入を次年度に繰り越した。 縦方向ビーム走査システムに必要な物品を購入する。 得られた成果を学会等で発表するための出張旅費等として使用する。
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