研究課題/領域番号 |
24760726
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
花田 信子 筑波大学, システム情報系, 助教 (00606634)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 液体アンモニア / 電気分解 / 過電圧低減 / 水素生成 / 水素貯蔵媒体 |
研究概要 |
液体アンモニアの電気分解における電流-電圧特性を基礎的な観点から系統的に明らかにした上で、適切な電極材料、電極形状、電解質を検討して、エネルギー変換効率の高い電気分解セルの構築を目的とする。 本年度は、電極反応過電圧低下のための電極材料の検討を行った。まず、電極材料の種類を検討するために3d、4d、5d遷移金属の板を用いて、電圧を変化させた時の電流密度-電圧曲線を評価した。その結果、Pt、Ir、Pd の4d、5d遷移金属に比べて、Fe、Co、Ni、Cuの3d遷移金属を用いた場合に2Vの電流密度が増加した。特にNiは、Ptに比べて1Vで2倍、2Vで1.7倍の電流密度が得られ、検討した中で最も電気化学特性が向上した。 次に、電極の反応面積を増やすために白金黒電極を適用し、過電圧の低減効果を評価した。白金黒電極は電気めっき法で白金板に白金粒子を堆積させ作製し、堆積時間の増加に伴って堆積重量が増加している事が確認された。電流密度-電圧曲線から、白金粒子の堆積重量が増加するに伴って、0.5 V付近での電流密度の増加が見られた。 最も堆積重量が多かった白金黒電極では白金板と比較すると,1 mA/cm2での電圧値が1.1 Vから0.45 Vまで低減した。その結果,0.5 Vでの定電圧測定において電気分解反応が起こり,水素と窒素(H2:N2 = 3:1)の生成が確認され、過電圧の低減に成功した。 さらに、アノード、カソードそれぞれの電極反応の過電圧特性を評価した。白金電極を疑似参照電極として用いることで、両過電圧の比を評価することに成功した。その結果、アノード反応過電圧は、カソードの5倍であることが確認され、窒素放出反応がより大きな過電圧を持つことが分かった。今後は、特にアノード反応過電圧を減少させるような電極を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度計画分の「電流密度に対する電極反応過電圧評価」、「電極反応過電圧低下のための電極材料の検討」については予定通りに達成した。「電流密度に対する抵抗成分の評価」については、測定は予定通りに達成したが解析に時間を要しており、進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に引き続き、「電流密度に対する抵抗成分の評価」、「電極反応過電圧低下のための電極材料の検討」を実施する。平成25年度計画分である「抵抗成分低下のための支持電解質、電極形状の検討」も同時に実施する。それらの結果を受けて、最適電気分解セルを構築して、エネルギー変換効率の評価を行う。平成24~25年度の結果より,エネルギー変換効率の高い電気分解セル構築の指針を示す。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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