研究課題/領域番号 |
24760727
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
甘蔗 寂樹 東京大学, 生産技術研究所, 特任准教授 (10544083)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | エネルギー節約・効率利用 / エクセルギー |
研究概要 |
磁気熱量効果に伴うエネルギーの解析と磁界における熱伝達方法の解明 磁気熱量効果に伴うエネルギーの流れを、解析し、仕事と熱に分けて、実験にて各エネルギー/エクセルギー量を導出した。磁石による磁界内における物質間での熱移動を系外と断熱的に行う方法の提案を行った。また、その時の熱伝達速度を解明し、磁場の強さの影響を実験とシミュレーションにて調べた。 磁気熱量効果に伴うエネルギーの解析…磁気熱量材料としてキュリー温度が常温に近いガドリニウムを用い、磁石の中をガドリニウムが行き来する装置にて、周辺の温度とガドリニウム表面の温度及びガドリニウムが受ける磁場の強さを時間と移動距離に対して測定した。実験で測定した温度変化より、ガドリニウムの温度・エントロピー線図を描き、理論必要仕事量を算定した。また、系外から与えるエネルギー量と比較・検討し、熱損失、ヒステリシスの影響や電磁誘導加熱によるエネルギー量を求めた。同時に、測定したエネルギー量よりエクセルギー量と装置のエクセルギー損失の算出を行った。さらに、簡易な一次元モデルを次に提案する装置を対象として構築し、シミュレーションによりその効果を明らかにした。 磁界における熱伝達方法の解明…ガドリニウムとプロセス流体の間で、外部と断熱的に熱移動ができる方法を提案した。ガドリニウムを充填層として円管内につめ、その円管内を流体が流れるようにした。その流体の流れる円管を磁石による磁場領域内にて動かし、流体の熱を再生させた。このように設計することで熱を再生させる流体がガドリニウムと直接接触し、直接熱交換を行うことができる。この装置の試作を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
磁気熱量効果に伴うエネルギーの解析と磁界における熱伝達方法の解明という二つの項目により検討を行っており、1つ目の磁気熱量効果に伴うエネルギーの解析に関しては実験とシミュレーションの両面から検討を行い、その結果を学会や論文にて発表している。また、二つ目の磁界における熱伝達方法の解明にて流体の熱を再生させる装置を提案し、その装置の試作を行った。これら二つの進捗を勘案すると順調に研究は進んでいる物と考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
自己熱再生のための磁気熱量効果を用いたエクセルギー再生装置の開発 H24年度の検討である磁気熱量効果に伴うエネルギーの解析と磁界における熱伝達方法の解明において設計した実験装置と温度熱量線図を用い、磁気熱量効果を用いたエクセルギー再生装置のエネルギーの流れと消費量を測定し、得られたデータをプロセスシミュレータに反映する。エクセルギー再生装置の自己熱再生への導入とエネルギー消費量の算出、エクセルギー再生装置導入の技術課題を抽出し、プロセスの運転システムを設計する。 自己熱再生型プロセスへの導入とそのエネルギー消費量の算出…設計した装置では円管の移動に伴うエネルギーが必要仕事となる。系外と断熱的に熱が移動すると、熱は全て流体に移動し、流体へ移動した熱量が確認できる。その結果をプロセスシミュレーターに反映し、自己熱再生プロセス全体のエネルギー消費量とエクセルギー損失を求める。同時に、従来から用いられている圧縮式エクセルギー再生装置を用いた自己熱再生プロセスのエネルギー消費量とエクセルギー損失を比較検討する。 新規エクセルギー再生装置を用いた自己熱再生型プロセスの運転方法の構築…新規エクセルギー再生装置を用いた自己熱再生型プロセスの運転システムを設計する。非定常時における磁気熱量効果を用いたエクセルギー再生装置及びそのエクセルギー再生装置を用いた自己熱再生型プロセスの動特性を解析する。得られた動特性よりモデル化して、非定常時においても省エネルギーとなる運転システムの設計を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
H24年度に設計した装置を運転するための消耗品及び実験の補助が必要と考えられるその分を計上している。同時に、シミュレーションを実験と平行して行うため、プロセスシミュレーターのライセンス費及び制御ソフトウェアーライセンス費を計上する。 また、研究成果を学会にて報告する経費として旅費を、誌上発表するための経費として論文校正費と別刷り費を計上する。
|