• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

コベネフィットを考慮した最適なCO2排出削減タイミングに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24760728
研究種目

若手研究(B)

研究機関東京大学

研究代表者

竹下 貴之  東京大学, サステイナビリティ学連携研究機構, 講師 (70344075)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードエネルギーシステム / 気候変動緩和 / コベネフィット / 大気汚染 / エネルギーセキュリティ
研究概要

第一に、エネルギーの生産・変換・利用の際に生じる、SO2、NOx、PM、VOC、COの排出を長期エネルギー需給モデルに組み込み、CO2排出削減対策が大気汚染緩和に貢献するというコベネフィットを定量的に評価できるフレームワークを構築した。その成果として、CO2排出削減対策が自動車からの大気汚染物質の排出量削減に貢献する度合について検討した論文を執筆し、査読付き国際Journal誌Applied Energyに掲載された。
第二に、上述の大気汚染物質の排出に伴う外部費用を、排出源別・大気汚染物質種別・地域別・時点別に推定した。そして、推定した外部費用を、上述の改良を施した長期エネルギー需給モデルに組み込み、大気汚染物質排出の外部費用を考慮した上で最も費用効果的な技術選択・燃料選択ができるフレームワークを構築した。その成果として、大気汚染物質の外部費用を考慮した場合の、自動車部門における最も費用効果的な技術選択・燃料選択を導出した論文を執筆し、査読付き国際学会論文として採択された。
第三に、長期エネルギー需給モデルにおいて、世界各地域の地域的特徴を考慮した上で、風力や太陽光等の出力変動を伴う電源の電力系統への接続を詳述する改良を行い、これらの電源の競争力を評価できるフレームワークを構築した。この点については完全に成し遂げたとまでは言えず、いくつかの点において確認の必要性はあるものの、概ね改良は終えたところである。その成果として、原子力代替電源として、これらの自然エネルギー電源が果たし得る役割について検討した論文を執筆し、査読付き国際学会論文として採択された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画調書に記載した平成24年度の研究計画に沿って長期エネルギー需給モデルの改良を行うべく、一通りの文献調査を終えたところである。具体的には、一般均衡型経済成長モデルの構築とその長期エネルギー需給モデルへのリンク、及び、技術進歩のモデルへの導入とそのための非凸非線形計画問題の解法を行った先行研究のレビューを行った。その結果、自身が運用している長期エネルギー需給モデルが大規模であることもあいまって、予想以上に業務が困難であることが判明したことから、研究計画調書に記載した平成24年度に行う計画とした内容は後回しにし、平成25年度の計画を前倒しして平成24年度の研究を進めた。
結果として、研究計画調書に記載した、平成25年度に行う計画とした内容は概ね達成した。すなわち、長期最適化型技術選択モデルに適用すべき割引率の値について説得力のある値を設定したこと、大気汚染物質の排出を長期エネルギー需給モデルに組み込むこと、大気汚染物質の排出に伴う外部費用を長期エネルギー需給モデルに組み込むこと、風力や太陽光等の出力変動を伴う電源の電力系統への接続を適切に表現するように長期エネルギー需給モデルの改良を行うこと、を実施・達成した。
平成25年度に行う計画とした研究内容のうち、エネルギー供給安定度の長期エネルギー需給モデルへの組み込みについては、先行研究のレビューを終え、エネルギー供給安定度を示す指標として、線形関数として記述できるエネルギー輸入依存率と、対数関数として記述されるShannon-Wiener indexを長期エネルギー需給モデルの出力変数として組み込むことを終えたところである。但し、最終目標である、これらを制約条件式としてモデルに組み込むことは今後の課題である。

今後の研究の推進方策

まず、出力変動を伴う自然エネルギー電源の電力系統への接続を適切に表現するように長期エネルギー需給モデルの改良を行うことの完了に全力を注ぐ。次いで、後回しとした、研究計画調書に記載した平成24年度に行う計画とした内容の達成に腰を据えて取り組む。具体的には、先行研究のレビューによって整理した知見に基づいて、一般均衡型経済成長モデルの構築とその長期エネルギー需給モデルへのリンク、及び、技術進歩のモデルへの導入とそのための非凸非線形計画問題の解法に全力を注ぐ。とともに、エネルギー供給安定度を示す指標を制約条件式としてモデルに組み込むことも、非凸非線形計画問題の解法が必要となることから、同時並行的に進めることとする。非凸非線形計画問題の解法については、まず、アプリケーションソフトウエアとして提供されているソルバーの性能を精査し、どのソルバーの利用が研究目的に合致するかを検討する。その際、非凸非線形計画問題の解法に成功した研究グループに対してヒアリングを行い、どのような方法を用いたかについて助言を求めることを試みる。

次年度の研究費の使用計画

18,000円程が残高として残っているが、書籍の購入に利用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] A cost-optimal scenario of CO2 sequestration in a carbon-constrained world through to 20502013

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Takeshita
    • 雑誌名

      Natural Science

      巻: 5 ページ: 313-319

    • DOI

      10.4236/ns.2013.52A043

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Assessing the co-benefits of CO2 mitigation on air pollutants emissions from road vehicles2012

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Takeshita
    • 雑誌名

      Applied Energy

      巻: 97 ページ: 225-237

    • DOI

      10.1016/j.apenergy.2011.12.029

    • 査読あり
  • [学会発表] Optimal technology and fuel choices in the transport sector in achieving the 2 ˚C target2012

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Takeshita
    • 学会等名
      Open Seminar at the I2CNER
    • 発表場所
      Kyushu University, Fukuoka, Japan
    • 年月日
      20120822-20120823
    • 招待講演
  • [学会発表] Global energy strategy for meeting the 2 C target under a low nuclear growth scenario2012

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Takeshita
    • 学会等名
      4th International Conference on Applied Energy
    • 発表場所
      Suzhou, China
    • 年月日
      20120705-20120708
  • [学会発表] Assessing the effects of internalizing externalities on the road transport sector2012

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Takeshita
    • 学会等名
      International Energy Workshop 2012
    • 発表場所
      Cape Town, South Africa
    • 年月日
      20120619-20120621
  • [学会発表] Optimal vehicle technology and fuel strategies considering global warming, air pollution, and energy security concerns

    • 著者名/発表者名
      Takayuki Takeshita
    • 学会等名
      ITEC-KSI Joint Seminar
    • 発表場所
      Doshisha University, Kyoto, Japan
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi