研究課題/領域番号 |
24760728
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹下 貴之 東京大学, サステイナビリティ学連携研究機構, 特任講師 (70344075)
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キーワード | エネルギーシステム / 気候変動緩和 / 再生可能エネルギー / 電力システム / 非在来型天然ガス / エネルギーセキュリティ |
研究概要 |
長期エネルギー需給モデルにおいて、世界各地域の地域的特徴を考慮した上で、風力、太陽光、波力等の出力変動を伴う電源の電力系統への接続を詳述する改良をほぼ完了し、これらの電源の競争力の評価、これらの電源が競争力を持つ可能性が高い地域の特定、これらの電源の世界地域別の最適導入パターンの導出、を行うことができる分析フレームワークを構築した。 その成果として、まず、厳しい気候変動制約下における、再生可能エネルギー電源(海洋エネルギー電源を除く)の2050年までの世界地域別の最適導入パターンの導出結果を紹介した論文を執筆し、査読付き国際Journal誌に掲載された。次に、海洋エネルギー電源として海洋温度差発電と波力発電に着目し、厳しい気候変動制約下におけるこれらの電源の競争力の評価、及び、これらの電源が競争力を持つ可能性が高い地域の特定を行った結果を紹介した論文を執筆し、査読付き国際Journal誌に掲載された。 さらに、現在高い関心を集めているシェールガス等の非在来型化石燃料の資源量やコストに関する最新情報を入手し、長期エネルギー需給モデルにおける、非在来型化石燃料に関するデータの更新を行った。その成果として、厳しい気候変動制約下における、コールベッドメタン及びシェールガスの競争力評価、それら非在来型天然ガスの2050年までの世界地域別の最適導入パターンの導出、それら非在来型天然ガスの導入が世界各地域のエネルギーセキュリティに与える影響の評価を行った結果を紹介した論文を執筆し、査読付き国際Journal誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に記載した研究の目的の柱の一つである、出力変動を伴う電源の電力系統への接続を詳述するというモデルの改良をほぼ達成でき、そのような改良を施した長期エネルギー需給モデルから得られた結果を紹介した論文が5件、査読付き国際Journal誌に掲載されたことは平成25年度の大きな前進である。 経済成長モデルの構築とその長期エネルギー需給モデルへのリンク、技術進歩のモデルへの導入、エネルギー供給安定度の定式化とモデルへの内部化、それらの結果必要になる非凸非線形計画問題の定式化と解法は、完了には至っていないものの、平成26年度には完了できるよう、現在概ね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画調書に記載した研究の目的の中で未達成の項目である、経済成長モデルの構築とその長期エネルギー需給モデルへのリンク、技術進歩のモデルへの導入、エネルギー供給安定度の定式化とモデルへの導入、これらのモデル改良の結果必要になる、非凸非線形計画問題の定式化と解法、を平成26年度に完了できるよう、今後とも鋭意研究を進めていく。 その中で、完了が最も困難と見込まれる非凸非線形計画問題の定式化と解法については、数理計画問題のソルバーのサプライアーである(株)MSIの技術支援を仰ぐこととした。それにより、本件の達成を確かなものとするよう措置を講じたところである。
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次年度の研究費の使用計画 |
まず、非凸非線形計画問題として定式化されるモデルについては、未だ構築段階にあり、試算や計算を行える状況にないため、モデル解法ソフトウェアの追加購入は行わなかった。次に、専門的知識の提供に対する謝金については、自身で解消できない問題への対応を後回しにしたため支出していない。次に、追加的なマンパワーへの需要については平成25年度末段階で生じなかったため支出していない。なお、国際Journal誌掲載論文のデジタル化の進展により、あえて別刷を購入する必要性が失われたため、論文別刷購入は行わないこととした。 非凸非線形計画問題として定式化されるモデルの構築が進んでおり、試算や計算を行える状況に近づいているので、平成26年度にモデル解法ソフトウェアの追加購入を行う予定である。また、現在、これまで対応を後回しにしてきた、自身で解決困難な問題に複数直面しているため、専門的知識の提供に対する謝金も平成26年度に支出する予定である。また、研究最終年度である平成26年度に研究を完了するためには、複数の研究協力者から助力を頂く必要があるため、研究協力者に対する謝金も平成26年度に支出する予定である。
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