研究課題
これまでに本申請者らは分裂酵母の減数第一分裂期における一方向性結合の確立には姉妹動原体が減数分裂期型Rec8コヒーシンによって接着を受けることが必須であると同時に、その接着の確立または維持にMoa1という減数分裂期特異的に発現する動原体因子が必要であることを見いだしている。また、Moa1の機能発現にはPolo like kinaseの分裂酵母ホモログであるPlo1との相互作用が必要であり、Plo1は減数第一分裂期特異的かつMoa1との相互作用依存的に動原体へと局在化する。また、単細胞真核生物のもう一つの主要なモデルである出芽酵母の場合、減数第一分裂期における一方向性結合の確立には減数分裂期特異的な動原体因子SPO13が必要であり、spo13変異株では一方向性結合の確立が起こらない。よって、分裂・出芽酵母、共に一方向制結合の確立に減数分裂期特異的な動原体因子を必要とする。しかし、Moa1とSPO13に一次配列上の相同性は見いだされない。そこで本研究では、Moa1とSPO13の機能的な保存性を検証することで、両酵母における一方向性結合確立機構の類似性および多様性について解析を行った。まず、出芽酵母SPO13が分裂酵母moa1破壊株の表現型を抑圧できるか検証した。SPO13を分裂酵母細胞内で発現させると致死となった。そこで、減数分裂期特異的に発現させたところ、moa1破壊株の表現型を抑圧できなかった。しかし、SPO13を動原体へと強制的に局在化させるとmoa1破壊株で生じる減数第一分裂での均等分配が有意に還元分配へと抑圧された。さらに、SPO13が有するPolo like kinaseとの結合配列に変異を導入すると、その抑圧効果が著しく減弱した。よって、SPO13もMoa1と同様に、その機能発現にPolo like kinaseを必要とする可能性が示唆された。
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