研究課題/領域番号 |
24770015
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
森 宙史 東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (40610837)
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キーワード | 細菌群集 / 代謝 / メタゲノム / バイオインフォマティクス |
研究概要 |
様々な系統の細菌の集合体である細菌群集は、多くの細菌が培養困難であるため、未だその生態および機能については不明な点が多い。特に、捕食被食の関係がほとんど見つかっていない細菌において、異なる系統の細菌間で群集中でどのような相互作用が存在するのかを明らかにすることは、細菌の群集中での生態を理解する上で意義深い。 本研究では、芳香族を添加した土壌由来の細菌群集から時系列でDNA・RNAのサンプリングを行い、メタゲノム・メタトランスクリプトーム解析を行うことによって、細菌がそれらの芳香族化合物を代謝する過程で生じた中間代謝産物の一部を、他の種の細菌が取り込み利用する「協調代謝」について、その種間相互作用の詳細を解明することを目的としている。平成25年度は、テスト用にサンプリングした土壌からのDNAおよびRNA抽出と、メタゲノム解析のためのバイオインフォマティクス手法の開発を行った。DNA抽出には、MO BIO社のPowerSoil DNA Isolation kit、RNA抽出には、同じくMO BIO社のPowerSoil RNA Isolation kitを用いることで、kitを使わないマニュアル抽出と比べると多少収量が落ちるが、ある程度の量のDNAおよびRNAを土壌から抽出できることを確認した。バイオインフォマティクス解析については、新型シーケンサーから得られるリードデータからクオリティフィルタリング、アセンブル、遺伝子予測、各遺伝子が由来した系統及び遺伝子機能の推定、およびサンプル間比較を一通り行える解析パイプラインを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
手法の開発は一通り終わったが、未だ時系列でのサンプリングが完了していないため、目的の達成度は、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
フェナントレン添加後の土壌について、時系列でDNA・RNAのサンプリングを行い、新型シーケンサーを用いてメタゲノム・メタトランスクリプトーム解析を行う。得られたシーケンスデータについては、既に開発した解析パイプラインを用いてサンプル間で比較メタゲノム・メタトランスクリプトーム解析を行い、フェナントレン代謝過程における複数の系統の細菌間での協調代謝の有無を明らかにし、細菌群集中における化合物を介した細菌間の相互作用の詳細を解明したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
時系列でのDNA・RNAのサンプリングが未だ完了していないため、その後のシーケンシングの際に使用する試薬を購入していないことが、次年度使用額が生じた理由である。 新型シーケンサーの試薬は数ヶ月で劣化してしまうため、全てのサンプリングが終了した段階で、これらの試薬を購入し、サンプルを即シーケンスする予定である。
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