研究課題
平成26年度は、1)精子の運動性測定と形態観察、2)ホヤやカイメンに産みつけられたカジカ卵の親種の特定と親子判定、3)水槽での交尾行動の観察を行った。1) 平成25年度までに交尾・無保護型のカジカ科魚類計9種の精子解析が終了し、交尾・無保護型については精子の運動性と形態のデータをほぼ収集できた。平成26年度は北海道大学臼尻水産実験所およびアリューシャン列島ウナラスカ島にて、繁殖期のカジカの雄の採集を行い、交尾・雄保護型3種、交尾・雌保護型2種、非交尾・雄保護型4種の精子の運動性と形態について調べた。その結果、交尾型と非交尾型では精子の頭部形態や精子が運動性を有する環境(体内のみ、もしくは海水中のみ)が全く異なること、また、交尾種であっても雄の保護行動の有無によって精子の鞭毛長が大きく異なることが示された。このことより、受精環境や精子競争が精子特性と関連している可能性が高いことが示唆された。2) 佐渡島に生息する交尾・無保護型9種中8種の雌が、ホヤやカイメンを産卵基質として利用することを野外調査と遺伝解析により突き止めた。親種を特定した卵隗について、マイクロサテライト多型を用いて一卵塊に関係する雄の数を推定した結果、2-6雄の子が一つの卵塊に含まれていることが明らかになった。このことから、交尾・無保護型の雌は交尾期間中に複数雄と交尾しており、強い精子競争がはたらいていると考えられた。3) 佐渡島に生息する交尾・無保護種は性的二型がほぼ無いが、二種のみ雄の鰭が伸張し、体色が鮮やかになる種がいる。この種について、水槽実験で求愛行動や交尾行動を調べた結果、性的二型の無い種に比べ、求愛ダンスを活発に行うことが明らかになり、性淘汰の程度が近縁種でも異なることが示された。以上の研究成果のいくつかは学会で発表を行った。今後は、研究論文として順次公表していく。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件) 備考 (3件)
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