研究課題
「植物―昆虫間相互作用」の分子メカニズムの解明は、植物自身がもつ対植食者防御戦略を積極的に活用する技術のシーズとなり、次世代の農作物生産体系を確立する上で非常に重要な研究課題である。本研究では、植物の防御応答を誘導する、害虫唾液成分に含まれるエリシターの受容体タンパク質(LysM型receptor-like kinase)の同定を試みた。先行研究により、ヨトウガ幼虫の唾液に含まれるオリゴ糖エリシターは植物の防御応答を誘導することが明らかにされている。そこで、病原真菌(カビ)由来のエリシターとして様々な植物の免疫機構の誘導に関わるキチンの受容体タンパク質(CERK1)に注目し、シロイヌナズナCERK1遺伝子に相同的なダイズ受容体遺伝子(GmCLK:16クローン)を選抜し、それらを恒常的に発現させた遺伝子組換えシロイヌナズナを作出した。これらの組換え株および野生株の葉に、機械傷とハスモンヨトウ(Spodoptera litura)幼虫唾液を処理し、食害誘導性防御遺伝子であるPDF1.2の発現レベルを定量したところ、5組換え株において、野生株より高い発現量が認められた。現在、これらの組換え株の活性酸素(H2O2)生産および、傷害ホルモンであるジャスモン酸生産に及ぼす影響についての解析を進めている。さらに、ダイズ培養細胞を用いたアッセイおよびBiacoreシステムを用いた分子間相互作用実験における解析結果を統合することで、植物のエリシター受容分子機構を紐解く。
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