前年度に引き続き,広島県のため池において季節的(年2回,春,秋)に調査を実施した。また,それらのサンプル,水質,クロロフィル量などの分析を同時に行った。また,さらに調査範囲を広げて,特に水草の生息に着目した調査を行った。 生物群集構造についての解析を行い,動物プランクトン群集については,島内の違いが大きいこと,一方では,水草の群集構造については,島内での違いよりも島間の違いが大きいことが明らかとなり,生物群集に応じて,空間構造が与える効果が異なることが明らかとなった。これは生物の移動分散能力や,繁殖様式によるところが大きいと考えられる。特に水草は移動分散が小さく,有性生殖が主な繁殖様式のため,このような結果が生じたと考えられた。これら生物群集の結果については,投稿論文としてまとめつつあるところである。
水草については,今年度は環境DNAを利用した調査手法を試行した。水草種については,外来種のオオカナダモと在来種のクロモを対象に調査を行った。水を採水して,そこから環境DNAを抽出し,そのDNAについてリアルタイムPCRを用いてオオカナダモ,クロモに特異的な領域を検出した。,湖岸からの採集,観察の結果と環境DNAの結果を合わせててみたところ,観察で見られたため池では,すべてで環境DNAが検出された。このことから,水草についても環境DNAを用いることでその分布を明らかにすることができることがわかった。これらの結果については投稿論文として投稿準備中である。
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