研究実績の概要 |
最終年度は,研究の成果を学術論文として発表するための期間として延長申請をし,許可されたものであり,申請の通り論文の執筆に費やした.当該年度内に受理された学術論文は2報であった.以下にその詳細を記す. 1報目は共同研究者が主体となって行った,対象種であるカレドニアセンニョムシクイのDNAを用い,親子判定や家系解析を行う上で必要なマイクロサテライトマーカーの開発を報告するものである(Gazda et al. 2015, Annales Zoologici Fennici).近年,マイクロサテライトマーカーの開発報告は論文として受理されることは稀だが,本種においては雛の皮膚の色彩に白色と黒色の多型が発見されており(後述,2報目),その重要性が評価され,受理に至った.研究代表者は,調査地であるニューカレドニアの法律に準拠して行われた野外調査において血液や体組織の採取を担当した.また,論文の改訂を担当した. 2報目は,本課題における研究において世界で初めて発見された事象である,雛の皮膚の色彩多型を報告するものである(Sato et al. 2015, Current Biology).Current Biologyは生物学においてトップジャーナルと評されており,生物学の最前線の成果が多く発表される気鋭の学術誌である.世界初の発見であることと,緻密な解析手法や卓越した論理構成が評価され,受理に至った.研究代表者は研究計画の立案,野外調査,解析計画,解析,論文執筆を担当し,責任著者となっている.
|