研究課題
下北沖の海底下堆積物中には石炭層が存在していることが知られている。平成24年度には、地球深部探査船「ちきゅう」を用いた統合海洋掘削計画(IODP)第337次航海に参加し、海底下2500m付近までの堆積物試料を連続的に採取した。その試料の解析を行なったが、土着の微生物数が予想よりも遥かに少なくその群集構造解析が非常に困難であり、平成25年度においても海底下石炭層に生息する微生物叢の解析を継続して行い、現在も進行中である。これらの試料の他にも我々はIODPにおいて世界各地の海底下堆積物試料を採取し、微生物研究用として保存している。調査の幅を広げるべく、下北以外の堆積物試料中において、これまで調査されたことの無いもっとも単純な炭素化合物であるCOと起点とした有機化合物の嫌気的合成反応をターゲットとして検討を行った。まず、我々の研究グループで開発した効率的なDNA抽出方法を用いて、世界各地の堆積物試料からDNAを流出し、嫌気的な一酸化炭素酸化を担う一酸化炭素脱水素酵素をコードする遺伝子であるcooS断片の増幅を試みた。その結果、このcooS遺伝子が堆積物中に普遍的に存在していることがわかった。そのうち、現在までにIODP第301次航海で得られたファンデフカ海嶺の表層堆積物から得られたcooS遺伝子のシーケンスを取得した。BLASTによりデータベース上の配列と照合した結果、堆積物表層で優占化しているデルタプロテオバクテリアに属する硫酸還元菌由来とみられる配列の存在が確認された一方、全く由来が分からないcooS遺伝子も多数存在しており、海底下のこれまで報告されていない微生物群も広くcooS遺伝子を有していることがあきらかとなった。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Applied and Environmental Microbiology
巻: vol. 80 ページ: 1985-1994
10.1128/AEM.04150-13