研究課題
最終年度にあたる平成26年度においては、互いに遺伝学的あるいは細胞学的な関係性が推察される場合に行われる、複数の蛍光プローブによるそれぞれの生体分子もしくは細胞内構造の別の蛍光波長領域での可視化と、そこから同時撮影で得た多重蛍光画像からの共局在解析手法の開発のために、マルチバンド画像の収集と撮像を行うとともに、共局在の有無や強さを推定する手法を複数開発した。このうち蛍光バンド間の輝度相関係数によって共局在性を評価する方法については、ノイズや細胞内のバックグラウンドの影響を抑制して、細胞内輸送系に係るタンパク質の経時的な局在変化を捉えることが可能となった。また細胞核や細胞質といった細胞内の特定の領域内での共局在性の解析にあたっては、当該領域内で細胞内構造がとりうる局在パターンをモンテカルロシミュレーションによって求め、実際の観察結果を評価する方法を新たに開発した。これにより2つのタンパク質の共局在性だけでなく、それらが相互排他的に分布するケースについても捉えることが可能となった。研究期間全体を通して、植物の細胞内構造をとらえる蛍光像について顆粒状構造、膜蛍光像、内腔蛍光像、繊維構造の4パターンに大別した上で、分布や形態、速度、そして相互の位置関係を客観的に評価するための一連の画像解析手法を開発した。また核・染色体の蛍光像からの細胞周期の推定など機械学習に基く画像の自動分類に関して、速やかに高精度な分類ソフトウェアを生成するアルゴリズムを開発した。その結果、表層微小管の配向の形成と制御の機構、小胞体流動と低温ストレスの関係、アクチン繊維と細胞分裂の関係、核内構造体の形成制御、小胞輸送系関連タンパク質の局在とその変化など、植物細胞学の多彩な研究分野に顕微鏡画像解析に基く定量的かつ客観的な知見を提供した。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 14件、 謝辞記載あり 15件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (20件) (うち招待講演 1件)
Medical Imaging Technology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Frontiers in Plant Science
巻: 6 ページ: 254
10.3389/fpls.2015.00254
FEBS Journal
10.1111/febs.13252
Plant Signaling & Behavior
Bioimages
Scientific Report
巻: 5 ページ: 7794
10.1038/srep07794
Plant and Cell Physiology
巻: 56 ページ: 107-115
10.1093/pcp/pcu151
Regulation of Plant Growth & Development
巻: 49 ページ: 104-111
Plant Morphology
巻: 26 ページ: 3-8
10.5685/plmorphol.26.3
巻: 26 ページ: 9-12
10.5685/plmorphol.26.9
Plant Cell Physiol
巻: 55 ページ: 1544-1555
10.1093/pcp/pcu084
Plant Cell
巻: 26 ページ: 3062-1076
10.1105/tpc.114.125880
画像ラボ
巻: 25 ページ: 33-39
Cytologia
巻: 79 ページ: 461-474
10.1508/cytologia.79.467
Environmental and Experimental Botany
巻: 106 ページ: 44-51
10.1016/j.envexpbot.2014.02.002