研究課題
活性酸素種(ROS)はDNAの損傷や細胞死を誘導する毒性物質として古典的に知られているが、近年の研究から細胞内ROS濃度([ROS]c</)上昇=ROSシグナルが細胞の分裂や分化、細胞内オルガネラ間のコミュニケーションに於いて極めて重要な役割を果たすことが明らかにされてきた。興味深いことに、気孔の閉孔や病原ストレス応答の初期過程に関与するCa2+シグナルの動因には細胞膜上の膜電位依存型Ca2+透過チャネルの活性化に先んじてROS生成が起こる。また近年、細胞膜上で活性酸素種生成を行うNADPH oxidaseの活性化にはCa2+の結合が必要であることが報告されている。これらの事象は、[Ca2+]c上昇とROS生成には双方向の関連性があり、両者が「Ca2+-ROSネットワーク」として協奏的に機能することを強く示唆しているが、同時計測による直接的証明が成されていないために、その分子機構は未だ明らかでない。この命題を解決するため、我々はこれまでの研究においてROS応答性発光タンパク質をコードする人工遺伝子を作成し、出芽酵母を用いたROSプローブ実証試験を行った。本研究ではCa2+との同時計測を可能とするための技術基盤を構築するため、微弱発光分光測定装置を開発するとともに、発光基質アナログの選抜および投与条件、試料生育条件について検討を行った。また、異種発現系における機能発現効率およびシグナルの増感に向けた基礎的知見を得るため、同タンパク質の翻訳後修飾機構および細胞内分布について、特異抗体を作成して検討した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件)
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