前年度に発見した概日リズムの温度保障性が異常となる変異体の、リズムを4つの異なる温度条件で詳細に解析した。その結果、この変異体は低温時には通常の概日リズムを示すが、高温になると周期長が非常に長くなることが明らかとなった。この変異体における概日リズムの周期長の延長と振幅の低下は相関があった。この変異体の原因遺伝子がコードするタンパク質は、転写因子であった。そこでこの転写因子の細胞内でのターゲットDNAへの結合をChIP-qPCRにて解析した。この転写因子は低温よりも高温条件下で、ターゲットDNAへの結合が強くなっていた。このことは、この転写因子の働きそのものが温度に依存している、すなわち温度補償性がないことが分かった。今後はこの転写因子のターゲット遺伝子を含めた包括的な分子生物学的な解析により、温度補償性の機構の理解へ迫っていく。
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