研究課題/領域番号 |
24770043
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
北山 陽子 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20444367)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 生物リズム / ゲノム |
研究概要 |
本研究は概日時計による細胞周期調節の分子機構解明のために、シアノバクテリアをモデル系として、概日時計タンパク質KaiCが細胞分裂時に現れるZリング形成を時間的に調節する分子機構を明らかにすることを目的としている。シアノバクテリアでは概日時計による細胞周期のGatingにおいてZリング形成が抑制されることが明らかであるが、大腸菌や枯草菌の研究から、Zリングを細胞の中央に正確に形成するためにMinシステムとNucleoid Occlusion という二つの機構があることがわかっている。KaiCはRecA/DnaB superfamilyに属するATPaseであり、DNA結合能を持つことや、Nucleoid構造は概日振動することから、KaiCはDNAに結合しNucleoid構造を制御することによってDNAの複製分配とある程度協調してZリンク形成を制御するのではないかと考えられる。予備実験の結果からKaiCは時刻依存的にDnaAと結合することが明らかとなったためKaiC-DnaAの相互作用とNucleoid構造に着目し,KaiCによる、遺伝子発現調節を介さない細胞周期のGating機構の検証を行った。 平成24年度は DnaAの細胞内での機能を細胞周期と概日時計の両面から解析するために大腸菌発現系を用いたシアノバクテリアDnaAの精製方法の検討、DnaA抗体の作製、エピトープタグを付加したdnaAのシアノバクテリアでの発現系の構築などを行い、dnaAの機能を分子遺伝学的、生化学的に解析することができるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は概日時計による細胞周期制御の分子機構を解明するため、Nucleoid構造とそのダイナミクスに着目し、シアノバクテリアの時計タンパク質KaiCが出力系の遺伝子発現を介さずにDNA複製開始因子DnaAと協調的に働くことで分裂装置(Zリング)形成を調節する機構について解析を行っている。そのために以下の3点の研究を行う計画であるが、[1. Nucleoid構造やダイナミクスがZリングの形成を制御するかを検証する。2. DnaAの細胞内での機能を細胞周期と概日時計の両面から解析する。3. DNAへの結合に基づくKaiCによる細胞周期制御機構を調べる。]平成24年度の研究によってDnaAの機能について解析する礎ができ順調に進んでいるといえるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
DnaAの機能解析を行うとともに、概日時計を同調させたシアノバクテリアを用いて、Nucleoid構造と細胞分裂、FtsZの局在を免疫蛍光顕微鏡法によって測定するとともに、DNA gyrase inhigitorや転写阻害剤によって細胞全体の転写を抑制Nucleoid構造を人為的に変化させFtsZの局在への影響を測定することで、Nucleoid構造とそのダイナミクスと細胞周期の関係を解析する。また、DnaAーKaiCの相互作用との関連も調べて行くことで概日時計タンパク質KaiCが細胞分裂時に現れるZリング形成を時間的に調節する分子機構を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は研究計画全体で必要となる,効率的な解析を行うためのキットなどの消耗品の購入する計画である。また、二年間の研究成果を発表のための学会参加として旅費と研究論文を発表するための費用が必要である。 消耗品の中では特に、解析の効率化のためにタンパク質精製用のカラム類とキット類の購入経費が必要であることと、ラジオアイソトープは半減期の短い32Pを用いるため1年間を通して購入する予定である。
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