研究課題/領域番号 |
24770045
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
植田 美那子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (20598726)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
酵母2ハイブリット法とBiFC法を用いて、POZとWRKY2、および特定のリン酸化酵素の三者が特異的に相互作用することを見出した。さらに、植物培養細胞を用いたルシフェラーゼ解析の結果、これらの因子が相互作用することで、直接のターゲット遺伝子であるWOX8の転写が強く活性されることを見出した。 また、これら転写因子の下流で受精卵の極性化を担う実働因子を網羅的に同定するべく、各因子の変異体から受精卵を単離し、次世代シーケンサーによる大規模発現解析を進めた。現在までに、野生型とwrky2変異体の受精卵における遺伝子発現データを得ている。受精卵内でWRKY2によって転写が活性化される遺伝子としてはWOX8遺伝子が既知であり、今回得られたデータにおいても、野生型よりもwrky2でWOX8の転写量が低いことを確認した。 IR-LEGO法については、当研究室にIR照射装置を導入し、ピンポイントでの近赤外レーザーの照射系を立ち上げた。また、緑色および水色の蛍光タンパク質で細胞核を標識するIR-LEGOマーカー、および、WRKY2、POZ、WOX8を一過的に発現させるためのIR-LEGOマーカーの作成を完了した。これに加えて、遺伝子発現の誘導後に受精卵極性やパターン形成の経時的変化をモニターするために、胚全体の細胞輪郭とおよび核配置を蛍光標識するマーカーも作成し、上記のIR-LEGOマーカーとともに各変異体に導入した。現在は核標識のIR-LEGOマーカーを用いてレーザー照射やイメージングの条件の最適化を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究計画は、1. 受精卵単離と次世代シーケンサーによる受精卵極性化因子の網羅的探索、2. 受精卵と初期胚におけるIR-LEGO系の確立、3. 体軸制御遺伝子群の機能解析の3項目からなる。このうち、平成24年度では、1. と2. を行うことになっているが、前述したように、1.については、既に野生型とwrky2変異体における受精卵における遺伝子発現データを得ており、2.についても、IR-LEGO実験系の導入とマーカー作成を完了している。1.については、wrky2以外の変異体からも同様のデータを得る必要があり、2.については、作成したマーカーの解析を完遂させる必要があるが、どちらも順調に進んでいることから、計画通りに実験が進展したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、「現在までの達成度」でも述べたように、wrky2以外の変異体、つまり、pozやwox8、およびこれらの多重変異体においても受精卵単離を進め、受精卵極性化因子のさらなる探索を進める。また、既に作成したIR-LEGOマーカーの解析を完遂させる。加えて、交付申請書に記載した平成25年度の研究計画で述べたように、体軸制御遺伝子群の機能解析を行う。具体的には、受精卵単離によって得られた受精卵極性化因子候補のそれぞれについて、IR-LEGO法を用いて解析することで、個々の因子が受精卵や胚発生に果たす役割を精査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度において、受精卵の大規模発現解析を当初予定よりも少ない研究費で遂行できたため、未使用額が生じた。したがって、翌年以降に請求する研究費と合わせて、以下の研究をおこなう。まず、DNA組換え実験用試薬を購入し、受精卵の極性化因子候補のそれぞれについて、IR-LEGOマーカーを作成する。加えて、各因子が欠損したシロイヌナズナ株をストックセンターから購入し、受精卵及び胚の表現型を観察することで、各因子が体軸形成に及ぼす効果を精査する。
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