(概要と手法)イネの生殖細胞において前減数分裂から減数分裂の移行に関係するMEL2のターゲットを探索する為に解析を行った。MEL2はRNA認識モチーフとリングフィンガーモチーフを持っており、RNAターゲットの翻訳制御を介して減数分裂の移行を制御していると考えられたので、ターゲットの探索にはRNAターゲットの解析、タンパク質ターゲットの解析(最終的にはそれが同じ遺伝子の可能性がある)両方を通じて行うのが相応しいと考えられた。本研究ではMEL2のRNA認識モチーフを同定し、更にmel2変異体と野生株の発現タンパク質の比較を二次元電気泳動とLCMSによって行った。 (結果)MEL2のRNA認識モチーフの認識配列はUUAGUU[AG/UU]を含む配列であることを示した。更にイネのゲノム配列からその配列を探索した所、249lociが3'-UTRにその配列を持つことが分かり、それらをMEL2の制御下にあるターゲット候補遺伝子とした。更に249lociのうちMEL2遺伝子と共発現するものを選び22lociに絞り込んだ。OsMADS3遺伝子やタンパク質の翻訳に関わるCAF遺伝子が含まれた。またGene Ontrogyでは脂質代謝、RNA代謝、転写、翻訳などの遺伝子が有意に多く発見された。 LCMSのタンパク質解析においてもタンパク質翻訳に関わる遺伝子が同定された。 (考察)MEL2タンパク質は転写後調節を介して、生殖に関係する遺伝子群を制御している可能性がある。翻訳に関わる遺伝しなどがmel2変異体で発現が下がることから、直接的間接的に、翻訳を制御している可能性が考えられた。
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