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2012 年度 実施状況報告書

植物分化全能性を支えるRNA代謝制御系の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24770052
研究種目

若手研究(B)

研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

大谷 美沙都  独立行政法人理化学研究所, セルロース生産研究チーム, 研究員 (60435633)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード国際情報交換
研究概要

植物細胞の分化全能性を支えるRNA制御機構を明らかにするため、以下の研究を進めた。
1、分化全能性発現に影響を与えるRNA制御異常の解明
RNA制御関連変異体の収集を進め、組織培養実験による大まかな表現型解析を行った。その結果、分化全能性発現時には、核内で起こるRNA制御イベントの方が核外で起こるイベントよりも要求度が高いという傾向が見出された。さらに、胚軸脱分化および新たな分裂組織形成に強い温度感受性を示すrid1変異体についての解析を進めた。これまでに、RID1はDEAH-box型RNAヘリカーゼをコードしており、rid1変異が人工合成レポーター遺伝子のスプライシング効率を温度依存的に低下させることが分かっていた。本研究では、新たに、rid1では胚軸脱分化時に選択的スプライシングパターン異常が起こること、さらにその異常はエキソンスキッピング、アクセプター位置選択、イントロン保持といった複数の選択的スプライシングタイプに及ぶこと、を明らかにした。これらの結果は分化全能性発現におけるpre-mRNAスプライシング制御の重要性を示すとともに、RID1のpre-mRNAスプライシングにおける役割が当初想定していたよりも大きいことを示唆しており、非常に興味深いものであった。
2、ノンコーディングRNAを介した新規の分化全能性制御機構の解析
胚軸脱分化にしたがって顕著に発現量が低下するmRNA型ノンコーディングRNA遺伝子について、そのプロモーターにuidA遺伝子を繋いだレポーターラインを作製し、発現解析を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していたRNA関連変異体について、大まかな組織培養実験を完了することが出来た。また、mRNA型ノンコーディングRNA遺伝子のレポーターラインについても予定通り作製が完了した。以上から、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

平成24年度の成果を受けて、以下のような研究内容を計画している。
1、分化全能性発現に影響を与えるRNA制御異常の解明
分化全能性に影響を与えることが分かったRNA制御関連変異体について、詳細な表現型解析を行う。具体的には、脱分化や器官再生の異常を、既知の鍵遺伝子の発現解析を通して分子レベルで明らかにする予定である。とくに興味深い変異体については次世代シーケンサー解析を行うことで、RNA制御異常の実態についても情報を得る。
2、ノンコーディングRNAを介した新規の分化全能性制御機構の解析
作製したレポーターラインの発現解析を進める。また、脱分化異常を示す変異をレポーターラインに導入して発現への影響を調べ、解析対象としているノンコーディングRNAがどういったRNA制御に関与しているのかを突き止める。さらにこのノンコーディングRNA遺伝子に関するnull変異体の表現型解析や、FISH解析による細胞内局在解析を行うことで、ノンコーディングRNAの役割を明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

H24年度は年度途中から産休・育休に入ったため、使用予定の一部予算を繰り越している。
具体的には、追加で収集する必要のあるRNA制御関連変異体について、種子購入や探索サービス利用を行う。また、qRT-PCRや次世代シーケンサーによる遺伝子発現解析に関する消耗品を必要量購入する予定である。これら物品代として、約150万円の使用を見込んでいる。さらに学会参加旅費、英文校閲費、および論文発表必要経費を合わせて約40万円の支出を考えており、合わせて約190万円となる予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Arabidopsis RID1, a DEAH-box RNA helicase involved in pre-mRNA splicing, plays an essential role in plant development2013

    • 著者名/発表者名
      Ohtani, M., Demura, T. and Sugiyama, M.
    • 雑誌名

      Plant Cell

      巻: - ページ: in press

    • DOI

      -

    • 査読あり
  • [学会発表] Essential requirement for Arabidopsis RID1, a DEAH-box RNA helicase involved in pre-mRNA splicing, in plant development2012

    • 著者名/発表者名
      Ohtani, M.
    • 学会等名
      Frontiers in Plant RNA Research 2012
    • 発表場所
      Sapporo, Japan
    • 年月日
      20121016-20121017
    • 招待講演
  • [学会発表] Physiological roles of snRNA hypermethylation in plant: lessons from Arabidopsis TGS genes2012

    • 著者名/発表者名
      Hiroyama, R., Demura, T. and Ohtani, M.
    • 学会等名
      Plant RNA Meeting
    • 発表場所
      Vienna, Austria
    • 年月日
      20120708-20120709
  • [学会発表] Critical roles of RID1 DEAH-box RNA helicase functioning in pre-mRNA splicing for organogenesis in vitro and in planta2012

    • 著者名/発表者名
      Ohtani, M., Demura, T. and Sugiyama, M.
    • 学会等名
      23th International Conference on Arabidopsis Research
    • 発表場所
      Vienna, Austria
    • 年月日
      20120703-20120707
  • [備考] 植物RNA研究ネットワーク

    • URL

      https://www.sci.hokudai.ac.jp/~yukako/RNA/

  • [備考] Frontiers in Plant RNA Research 2012

    • URL

      http://www.riken.jp/bmep/teams/cellulose_production/test/index.html

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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