研究課題
本研究では、植物細胞の分化全能性発現に重要なRNA代謝制御系を明らかにするため、①RNA代謝制御関連因子の逆遺伝学的解析、および②ノンコーディングRNAを介した分化全能性制御機構の解析、を中心に解析を行ってきた。最終年度には、rRNA(リボゾームRNA)生合成経路に関して逆遺伝学的解析を行い、rRNA生合成に関わる因子に関する変異体の全てが脱分化に異常を示すわけではなく、特定の過程の変異がとくに強く影響することを明らかにした。さらに、核内ノンコーディングRNAの一種であるsnRNAの転写制御活性について、脱分化や器官再生時には芽生え発生よりもより高い活性が要求されることを明らかにし、分化全能性発現時におけるRNA代謝制御の重要性を改めて示すことに成功した。また、野生型およびRNA代謝制御関連変異体の脱分化およびシュート再生過程におけるゲノムワイドトランスクリプトーム解析を行い、RNA代謝動態に関する基礎データを取得した。以上および研究期間全体の成果から、植物細胞ではRNA代謝制御系がそれぞれ異なる重みをもって分化全能性発現制御に関与していることが示された。これは、植物分化全能性を利用したクローン増殖技術の分子基盤という意味で、非常に重要な基礎的知見であると考えている。
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https://www.sci.hokudai.ac.jp/~yukako/RNA/