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2013 年度 実績報告書

シンク/ソース転換における可塑的葉緑体分化

研究課題

研究課題/領域番号 24770055
研究機関東京大学

研究代表者

小林 康一  東京大学, 総合文化研究科, 助教 (40587945)

キーワード葉緑体 / 光合成 / 植物
研究概要

ほとんどの植物はソース器官で行われる光合成に依存して生きているが、草食生物や生育環境の激変などによりソース器官の喪失が常に起こりうる。本研究の目的は、ソース器官喪失に応答した非光合成組織における葉緑体発達機構とその生理的意義を明らかにし、植物の器官分化と協調した葉緑体分化制御モデルを分子レベルで構築することにある。
これまでの本課題における研究から、地上部から切り離されたシロイヌナズナの根ではサイトカイニンシグナルが上昇し、その下流で転写因子であるCGA1遺伝子の発現が顕著に増加することを明らかにした。
そこで今年度は、これらの因子が切除された根における葉緑体の発達にどのように関わるのかを解析した。遺伝子発現解析により、切除された野生株の根では顕著に光合成関連遺伝子の発現が上昇するのに対し、サイトカイニン情報伝達因子であるARR1とARR12の二重変異体では、それが強く抑制されることが明らかとなった。興味深いことに、この抑制は、核にコードされる遺伝子だけでなく、葉緑体にコードされる光合成遺伝子においても見られた。切除した根で見られる光合成活性の上昇は、ARR二重変異体では見られなかったことから、これらの光合成遺伝子の発現誘導が光合成活性の上昇に寄与すると考えられる。CGA1は人工的な異所的発現により葉緑体形成を誘導することから、サイトカイニンの下流でCGA1が葉緑体分化に重要な役割を果たすと考えられる一方、CGA1とそのホモログであるGNCとの二重変異体においても切除根の緑化が見られたことから、これらの因子以外にも切除根の緑化にする因子があると考えられる。さらに、傷害時にサイトカイニンシグナル上流で働く転写因子であるWIND1の機能抑制によって切除根における葉緑体発達が抑制されたことから、WIND1を介した傷害応答が葉緑体の発達に寄与していることを明らかにした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Photosynthesis of root chloroplasts developed in Arabidopsis lines overexpressing GOLDEN2-LIKE transcription factors.2013

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi K, Sasaki D, Noguchi K, Fujinuma D, Komatsu H, Kobayashi M, Sato M, Toyooka K, Sugimoto K, Niyogi KK, Wada H, Masuda T
    • 雑誌名

      Plant Cell Physiol.

      巻: 54 ページ: 1365-1377

    • DOI

      10.1093/pcp/pct086

    • 査読あり
  • [学会発表] シロイヌナズナにおける誘導的人工マイクロRNAを用いた主要葉緑体膜脂質MGDGの機能解析2014

    • 著者名/発表者名
      藤井祥、小林康一、Krishna K. Niyogi、中村友輝、和田元
    • 学会等名
      第55回植物生理学会年会
    • 発表場所
      富山大学(富山)
    • 年月日
      20140318-20140320
  • [学会発表] Photosynthetic characteristics of phosphatidylglycerol-deficient Arabidopsis mutant.2014

    • 著者名/発表者名
      Koichi Kobayashi, Kaichiro Endo, Haruka Hori, Sho Fujii, Krishna K. Niyogi, Hajime Wada
    • 学会等名
      第55回植物生理学会年会
    • 発表場所
      富山大学(富山)
    • 年月日
      20140318-20140320
  • [学会発表] Inducible knockdown of MGD1 in Arabidopsis.2013

    • 著者名/発表者名
      Sho Fujii, Koichi Kobayashi, Krishna K. Niyogi, Yuki Nakamura, Hajime Wada
    • 学会等名
      5th Asian Symposium on Plant Lipids
    • 発表場所
      Gwangju, Korea
    • 年月日
      20131129-20131201
  • [学会発表] Role of phosphatidylglycerol in Arabidopsis chloroplasts2013

    • 著者名/発表者名
      Koichi Kobayashi, Kaichiro Endo, Haruka Hori, Sho Fujii, Krishna K. Niyogi, Hajime Wada
    • 学会等名
      5th Asian Symposium on Plant Lipids
    • 発表場所
      Gwangju, Korea
    • 年月日
      20131129-20131201
  • [備考] 東京大学 大学院総合文化研究科 和田・小林研究室

    • URL

      http://hajimewada.c.u-tokyo.ac.jp/

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公開日: 2015-05-28  

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