熱帯島嶼の河川は一般に急傾斜で流程が短い。腹足類は同環境に卓越する両側回遊動物の一群であり、アマオブネ・コハクカノコ・トウガタカワニナ・マミズスナウミウシ科の4系統が、白亜紀-新生代にかけ独立に河川進出した。多くは典型的な小卵多産で、孵化したプランクトン食幼生の生残に塩分を要する。本生活史復元には変態前後の殻体元素比解析が有用である。アマオブネ科では両側回遊から純海水性への進化的逆転がおきたほか、笠型の平行的獲得がみられ生態的制約の強さが伺われる。同科回遊群は種の多様性極大がCoral Triangleにある点で浅海性底生動物の一般的傾向に近似し、主な地理的分布規定要因は海流および気温である。
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