研究課題/領域番号 |
24770074
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
篠原 渉 香川大学, 教育学部, 講師 (30467443)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 適応進化 |
研究概要 |
平成24年度は、これまで調査されていなかった6月、9月そして3月において自然選択圧の候補を絞るためにヒメコナスビの状態を調査した。これまでの年間を通した自然選択圧の調査から、最も強い自然選択圧は雨とそれに伴う生育地の水没、及び風である可能性が高い。屋久島の高標高地域では降水量が年間1万ミリを超え、ヒメコナスビが生育する登山道沿いはしばしば水没することを確認した。また次世代シーケンサーにより解析されたメッセンジャーRNAのF2集団の親個体から採取されたメッセンジャーRNAの解析を行い、ヒメコナスビとコナスビ間で差異があるSNPを探索中である。さらに近親交配を繰り返しすべての遺伝子座をホモの状態にするinbred strainを作製するために、まず第一世代のF1集団を作製した。また申請者が研究機関を異動したために研究環境の立ち上げを行った。まず、異動先の香川大学教育学部生物学教室において、共通圃場実験用の圃場を大学構内に確保し、倉庫や栽培用の棚の設置など整備を行い、ヒメコナスビとコナスビの栽培をおこなった。また分子実験の実験設備や実験室が整備されていなかったため、必要な実験機材(サーマルサイクラー、遠心機、インキュベーター、オートクレーブ、ディープフリーザー、クリ―ンベンチ、分光高度計、破砕機等)と試薬の購入、そして実験室の整備(遺伝子組換え許可申請)を行った。さらに研究を遂行する補助者を雇用し、栽培実験を行う植物のメンテナンス方法及び分子実験のトレーニングを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が研究機関を異動したため、研究室の立ち上げに時間と費用を消費し、当初の計画から遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
現在F2を約800個体育成している。そのそれぞれの個体からDNAを抽出し、次世代シーケンサーで開発した遺伝マーカー間の相対的な位置関係を決定するための連鎖解析を行う。コナスビとヒメコナスビの染色体数は共に2n=20の2倍体であり、QTL解析では10の連鎖群それぞれに最低100 個の遺伝マーカーを、全体では1万個以上の遺伝マーカーをのせることを目標としている。ダピ染色による蛍光量の比較からコナスビ類のゲノムサイズは2Gbp(ギガベースペア)程度と推定しており、1万個の遺伝マーカーでは遺伝マーカー間の平均距離は単純計算で200kbpとなる。
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次年度の研究費の使用計画 |
屋久島の高山性ミニチュア植物を栽培するための実験用温室の建設に使用する。
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