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2013 年度 実施状況報告書

屋久島の高山性ミニチュア植物の適応形質の自然選択圧特定と連鎖解析

研究課題

研究課題/領域番号 24770074
研究機関香川大学

研究代表者

篠原 渉  香川大学, 教育学部, 准教授 (30467443)

キーワードcDNAライブラリー / 次世代シーケンサー / メッセンジャーRNA / ヒメコナスビ / コナスビ / 屋久島 / 高山性ミニチュア植物
研究概要

屋久島の山頂部では82の分類群で、祖先種と比較して植物体が1/2から1/10ほど小型化する現象が報告されている(初島,1991)。この屋久島の高山性ミニチュア植物は、わずか6000年前から分化した可能性が高いことが、屋久島の地層学的調査からわかっている(Machida & Arai, 1983; Yasuda, 1991; Kimura et al., 1996)。本研究では屋久島の高山性ミニチュア植物が、屋久島の高山帯という特殊環境に短期間のうちに適応進化した優れた研究系であることを見出し研究を行っている。本研究では特に屋久島の高山性ミニチュア植物の一種であるヒメコナスビに着目し、近縁種のコナスビとの分子レベルの比較を行った。
まずヒメコナスビとコナスビそれぞれ3個体を元親として交配からF1を作製し、それらのF1を自殖させることによりF2集団を作製した。これらF2集団のもとの親であるヒメコナスビとコナスビそれぞれ3個体からメッセンジャーRNAを抽出し、それらを次世代シーケンサーで解析することでcDNAライブラリーを作製した。抽出に用いたヒメコナスビとコナスビ個体はタバコモザイクウイルスに感染していると考えられるデータセットとなったため、cDNAライブラリーをジーンバンクの相同性検索により核由来、葉緑体由来、ミトコンドリア由来、タバコモザイクウイルス由来に分類した。その上でヒメコナスビとコナスビのcDNAライブラリーの比較解析を行い、それぞれ対応するメッセンジャーRNAの対応表を作製した。ヒメコナスビとコナスビの対応表で核由来のcDNAのうち両者間にスニップが確認されたものを選び、デプスの確認から一遺伝子由来であることが予想される組み合わせのみを抽出し、プライマーを作製した。現在までに32セットのプライマーを作製した。また連鎖解析を行うためにF2集団のDNAを抽出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

メッセンジャーRNAの抽出に用いた葉がタバコモザイクウイルスに感染していたため質がやや悪く、十分量の遺伝マーカーを得るのに時間がかかっている。また研究代表者の異動により、異動先の研究機関での研究体制の立ち上げに時間を要したことも研究の進展が遅れている要因のひとつである。

今後の研究の推進方策

ヒメコナスビとコナスビのcDNAライブラリーの比較から、両者に差異がみられる遺伝子座を検出し、プライマーを作製する。十分量の遺伝マーカーが作製された段階で、連鎖地図の作製を行う。これまでに10個のマイクロサテライトマーカーの開発もおこなっており、合わせて連鎖解析を行う。また十分量の遺伝マーカーが得られない場合にはラッドシーケンスにより遺伝マーカーの補充し、高密度連鎖地図の作製を行う。

次年度の研究費の使用計画

申請者の研究機関の異動に伴い、新しい研究機関での研究環境の整備の立ち上げに1年間を要したため、屋久島の高山性ミニチュア植物であるコナスビの大量F2集団の作製及びコナスビ類のcDNAライブラリーの次世代シーケンサー解析に基づく連鎖地図作製用の遺伝子座探索が遅れている。
コナスビ類の遺伝マーカーの作成とその遺伝マーカーを用いたコナスビとヒメコナスビのF2集団の解析をおこなう。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 屋久島の高山性ミニチュア植物の小型化形質は適応進化の結果か?共通圃場実験と集団遺伝解析に基づくQstとFstの比較

    • 著者名/発表者名
      篠原 渉、掛澤明弘、工藤 洋
    • 学会等名
      日本植物分類学会第13回大会
    • 発表場所
      熊本
  • [学会発表] 屋久島の高山性ミニチュア植物ヒメコナスビの小型化形質には遺伝的バックグラウンドが存在する

    • 著者名/発表者名
      掛澤明弘、田村 実、工藤 洋、篠原 渉
    • 学会等名
      日本植物分類学会第13回大会
    • 発表場所
      熊本

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公開日: 2015-05-28  

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