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2013 年度 実施状況報告書

新規アポスポリー制御遺伝子を用いた陸上植物の異形世代交代を司る制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24770077
研究機関東京大学

研究代表者

榊原 恵子  東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90590000)

キーワード世代交代 / 陸上植物 / KNOX / 転写因子
研究概要

陸上植物はその生活環の中で単相 (n)と複相 (2n)の両方に異なる形態の多細胞体制を構築する異型世代交代を行う。申請者はヒメツリガネゴケKNOX2遺伝子の解析から、この遺伝子が陸上植物の世代交代のうち、複相から単相への移行を負に制御する転写因子であることを発見した。これは初めての世代交代を制御する転写因子の発見であり、この標的遺伝子を単離し、その機能解析を行うことで、世代交代を制御する分子機構の解明につながると期待される。
KNOX2遺伝子は複相の初期胚で機能するが、その標的遺伝子の単離のため、野生株とKNOX2遺伝子欠損株の初期胚からcDNAライブラーを作成し、次世代シーケンサーを用いて網羅的に解析するトランスクリプトーム解析を行い、その結果を比較することで、KNOX2遺伝子破壊株で有為に発現量の変化している遺伝子を探索することとした。申請者は野生株とKNOX2遺伝子機能欠損株の初期胚のサンプリングを終了し、微小サンプルからcDNAライブラリーを作成する準備を整えた。
また、KNOX2遺伝子の属するKNOX遺伝子族はホメオドメインを持つ転写因子をコードしているが、緑藻と被子植物においてKNOX転写因子が核へと移行するのに、同じくホメオドメインを持つ転写因子であるBELLとヘテロダイマーを形成することが必要であると報告されている。申請者はBELLとの相互作用により、KNOX2タンパクが核へ移行することが世代交代制御のトリガーとなると仮説を立てており、KNOX2遺伝子だけでなく、BELL遺伝子の解析も本研究の課題とした。ヒメツリガネゴケゲノムには4個のBELL遺伝子がコードされており、そのうちの3個が複相で発現することを確かめた。現在、これらのBELL遺伝子についても詳細な発現解析と遺伝子機能欠損株の作出による解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成25年度において父の介護休業を取得したため、その間、研究を進めることができなかった。

今後の研究の推進方策

申請者の所属する東京大学大学院理学系研究科においてイルミナ社のHiseq1500が導入された。これを用いてcDNAライブラリーのシークエンス解析を行う予定である。ヒメツリガネゴケの初期胚を用いたトランスクリプトーム解析のため、微小組織からcDNAライブラリーの作成が可能なquartz seq法によりライブラリー作成を行う予定である。
また、KNOX2とダイマーを形成するBELL遺伝子の解析も進めており、BELLとCFP(青色蛍光タンパク)の融合タンパクを内生のBELLプロモーター下で発現する形質転換体 (BELL-CFP株)、およびBELL遺伝子機能欠損株を作出予定である。作出後、既存のKNOX2とYFP (黄色蛍光タンパク) 融合タンパクをKNOX2遺伝子の内生プロモーター下で発現する形質転換体 (KNOX2-YFP株)とのかけあわせ実験を行い、BELL-CFP x KNOX2-YFP株、KNOX2-YFP x BELL遺伝子破壊株を得る。BELL-CFP x KNOX2-YFP株を用いてKNOX2タンパクとBELLタンパクの細胞レベルでの相互作用を調べる。また、KNOX2-YFP x BELL遺伝子破壊株を調べることで、KNOX2が世代交代を制御する転写因子としての働く際の核移行がBELLに依存しているかを調べる予定である。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度に介護休業を取得したため、研究が予定通りに進行しなかった。
次世代シーケンサーによるトランスクリプトーム解析のための試薬の購入、及び形質転換体の観察のための試薬購入に充てる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] WOX13-like genes are required for the initiation of apical stem cells from differentiated leaf cells in the moss Physcomitrella patens2014

    • 著者名/発表者名
      Sakakibara, K., Reisewitz, P., Aoyama, T., Friedrich, T., Ando, S., Sato, Y., Nishiyama, T., Tamada, Y., Hiwatashi, Y., Kurata, T., Ishikawa, M., Deguchi, H., Rensing, S. A., Werr, W., Murata, T., Hasebe, M., Laux, T.
    • 雑誌名

      Development

      巻: 141 ページ: 1660-1670

    • DOI

      10.1242/dev.113167

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Phylogeny of Class IV HD-Zip genes and the evolution of epidermal complexity in land plants2013

    • 著者名/発表者名
      Zalewski, C. S., Floyd, S. K., Furumizu, C., Sakakibara, K., Stevenson, D. W., and Bowman, J. L.
    • 雑誌名

      Molecular Biology and Evolution

      巻: 30 ページ: 2347-2365

    • DOI

      10.1093/molbev/mst132

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 陸上植物の世代交代の謎にせまる~遺伝子重複と機能分化による胞子体の劇的な形態進化~2013

    • 著者名/発表者名
      榊原恵子
    • 雑誌名

      化学と生物

      巻: 51 ページ: 595-596

  • [雑誌論文] 蘚苔類の世代交代とその制御因子2013

    • 著者名/発表者名
      榊原恵子
    • 雑誌名

      蘚苔類研究

      巻: 10 ページ: 393-397

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒメツリガネゴケをモデルとして発生進化学的解析による陸上植物の異形世代交代を司る分子機構の解明2013

    • 著者名/発表者名
      榊原恵子
    • 学会等名
      植物学会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      20130913-20130915
    • 招待講演
  • [学会発表] 陸上植物の世代交代を制御するKNOX2遺伝子のターゲット探索2013

    • 著者名/発表者名
      榊原恵子
    • 学会等名
      次世代シーケンサー現場の会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      20130904-20130905
  • [学会発表] KNOX2遺伝子は陸上植物の世代交代を制御する2013

    • 著者名/発表者名
      榊原恵子 安藤沙友里 Hoichong Karen Yip 玉田洋介 日渡祐二 村田隆 出口博則 長谷部光泰 John L. Bowman
    • 学会等名
      蘚苔類学会
    • 発表場所
      岡山理科大
    • 年月日
      20130806-20130807
  • [学会発表] KNOX遺伝子は陸上植物の世代交代を制御する

    • 著者名/発表者名
      榊原恵子
    • 学会等名
      東京大学生命科学セミナー
    • 発表場所
      東京大学

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公開日: 2015-05-28  

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