日本列島には,3種4系統のトカゲ属(Plestiodon,トカゲ科,爬虫綱)が側所的に分布し,4箇所に接触帯を持つ.これらのうち未記載種だったものを新種として記載し,八丈島における外来・在来個体群の分布と交雑の状況を明らかにした.また,分子系統解析により各系統が約600~200万年前に分岐したと推定された.そして,新たに開発したマイクロサテライトマーカーと既知の遺伝子マーカーを使用した集団遺伝学的解析により,交雑帯によって遺伝構造が異なることが示された.これは,交雑帯の形成に関わる歴史の違いを反映した生殖隔離機構・強度の違いによるものと推測される.
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