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2012 年度 実施状況報告書

ゲノム情報を利用した交雑種分化メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 24770081
研究種目

若手研究(B)

研究機関独立行政法人森林総合研究所

研究代表者

菊地 賢  独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 主任研究員 (10353658)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードヤナギ / 雑種種分化 / ゲノム
研究概要

ヤナギ属植物における雑種種分化の過程を解明することを目的として、本年度は、ユビソヤナギの雑種起源説の検証をおこなった。葉緑体遺伝子間領域と核遺伝子領域2座を用い、核遺伝子領域としてPGI領域およびncpGS領域を選んだ。核遺伝子のPCR増幅にはPopulusのゲノムデータベースを利用して設計したプライマを用いた。これらの遺伝子領域について、ユビソヤナギを含む国産ヤナギ属植物30種およびエゾヤナギに近縁の国外種2種を用いて遺伝子配列を解析し、系統樹を構築した。
遺伝子領域によって系統樹の分岐パターンは異なったが、こうした違いを加味して網状系統樹を構築したところ、節レベルの分類をよく反映し、核遺伝子の利用がヤナギの分子系統分類に有用であることが示された。
ユビソヤナギの系統的由来について、葉緑体遺伝子はユビソヤナギがエゾヤナギの一系統と近縁であることを示す一方、PGI領域とncpGS領域はネコヤナギに近縁であることを示していた。また、ユビソヤナギの葉緑体遺伝子やncpGS領域は、エゾヤナギあるいはネコヤナギの一系統と同一の遺伝子型をもっていた。以上から、ユビソヤナギの系統的由来に関し、エゾヤナギおよびネコヤナギの一部系統との交雑が大きく寄与していると考えられた。
これら3種間の遺伝子交流をより詳細に解明するため、Populus属のESTから開発された36座のプライマを用い、系統解析を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では、当該年度において10座を目標として核遺伝子の解析をおこない、ユビソヤナギの系統的由来と雑種種分化の検証をおこなう予定であったが、現在までに解析が完了したのは2座にすぎず、解析が途上となっている。

今後の研究の推進方策

多数の核遺伝子領域を用いたヤナギ属の系統解析をすみやかに行い、ユビソヤナギの雑種由来仮説についてより詳細な検証をおこなう。その結果をふまえ、ユビソヤナギが雑種由来であることが確かめられた場合、ユビソヤナギと母種の種子採取と育苗を開始し、形態・生理生態特性の測定に取り組む。また、雑種由来仮説が否定された場合でも、ユビソヤナギの系統分化が他種との交雑に大きく影響を受けている証拠があられた場合は同様に形態・生理生態特性の解析をおこなう。一方、交雑の影響が小さいという結果が得られた場合は、これらの解析を取りやめ、ヤナギ属全体の系統解析に重点を移す。

次年度の研究費の使用計画

ユビソヤナギとその推定母種について、種子散布期(5月~6月)に種子のサンプリングを行う。また、採取した種子を発芽、育苗するためにポット、培土類を購入する。また、遺伝解析のために必要な実験試薬を購入する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 只見川流域、とくに小戸沢のユビソヤナギの遺伝的多様性とその保全2012

    • 著者名/発表者名
      菊地賢、鈴木和次郎
    • 雑誌名

      只見の自然 只見町ブナセンター紀要

      巻: 1 ページ: 7-11

  • [雑誌論文] Conservation of a threatened riparian tree Salix hukaoana2012

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Kikuchi, Wajiro Suzuki
    • 雑誌名

      IUFRO World Series Volume 30: Asia and the Pacific Workshop Multinational and Tranboundary Conservation of Valuable and Endangered Forest Tree Species.

      巻: 30 ページ: 94-97

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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