雑種形成は、植物の種分化を促す重要な要因のひとつとして注目されている。種間交雑を頻繁に生じるヤナギ属植物について、複数の核遺伝子を解析し、雑種形成が進化に及ぼす影響を検証した。ユビソヤナギはネコヤナギとエゾヤナギの中間的な形態を持つが、系統解析の結果、これら3種の系統的独自性は高く、ユビソヤナギは雑種由来ではなかった。ただし、これら3種の間には、種分化後に遺伝子流動が生じている可能性が示唆された。一方、Vetrix亜属やChamaetia亜属に属する国産ヤナギ属植物の多くは複雑なネットワークを形成し、種分化後の頻繁な種間交雑によって網状進化を遂げている可能性が示唆された。
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