研究課題/領域番号 |
24770083
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
海老原 淳 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究員 (20435738)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | シダ植物 / 種形成 |
研究概要 |
日本で著しい多様化を遂げているシダ植物の複数の群を対象に、従来の形態分類では正確な把握が困難であった種形成ネットワークを総合的に解明するため、本年度はいくつかの群で予備的な解析を進めた他、解析に必要な汎用DNAマーカーの開発を進めた。 オシダ科オシダ属(特にイワヘゴ類、イタチシダ類)、イノモトソウ科イノモトソウ属(特にハチジョウシダ類)、ヒメシダ科ヒメシダ属(特にハリガネワラビ類、ミゾシダモドキ類)においては、種形成ネットワークを解明するための実際の材料収集と解析を進めた。各材料については、DNA解析の他、変異や分布状況を調査するためのさく葉標本の再検討、さらに倍数性の情報を得るための染色体観察を、研究協力者と共同で進めた。葉緑体DNAマーカー、核DNAマーカー、倍数性解析の結果を組合せることにより、各群における種形成ネットワークを描き出すことに成功した。平成24年度中にまとまったデータの一部は学会発表で公表を行った。さらにいくつかの群については、次年度の解析に備えた材料収集を行った。 DNAマーカーの開発については、次世代シークエンサーによって得られた塩基配列データが既に手元にあるオシダ科オシダ属を材料に開発を進め、徐々に汎用性を高める戦略で進めた。その結果、少なくともオシダ属では広く利用可能で、一定量の変異が期待されるマーカーを5領域開発することができた。また、既存核マーカーについても、より安定した増幅が可能で、SSCP法を用いた解析に適した断片長になるような改良を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部解析予定の属を変更したが、全体としてはほぼ当初の予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的である種形成ネットワークの包括的な解明を達成するために、地方在住の夏らリストを含めた多数の研究協力者との協力体制を一層充実させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度はDNA解析について、本来謝金等を利用した実験補助を予定していたが、適当な人材が得られなかったことにより自ら解析を行うことで補間した。しかしながら、次年度は適当な人材を得ることにより、DNA解析の効率化を図ることを計画している。現地調査についても、研究代表者が十分に時間を確保できず、植栽植物を多く利用するなどの対応をとったが、次年度は計画通り野外調査を進める予定である。
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