研究課題
日本産シダ植物全体の中で、特に日本とその周辺地域で多様化を遂げ、形態に基づく種の同定が難しい複数の群について、その生物学的実体解明を行った。本研究期間中に主な研究対象として選択した群として、コケシノブ科(アオホラゴケ属、ハイホラゴケ属)、ヒメシダ科(ハリガネワラビ類、ニッコウシダ類、ハシゴシダ類、ミゾシダモドキ類、ミゾシダ類、ゲジゲジシダ類、コウモリシダ類)、ホングウシダ科(ホングウシダ属、エダウチホングウシダ属、ホラシノブ属)、コバノイシカグマ科(フジシダ属)、イノモトソウ科(イノモトソウ属ハチジョウシダ類、シシラン属)、ナヨシダ科(ウスヒメワラビ属)チャセンシダ科(チャセンシダ属)、オシダ科オシダ属(特にイワヘゴ類、イタチシダ類)、オシダ科ヤブソテツ属が挙げられ、分類学的に未解決の問題を含む群の多くをカバーすることができた。これらの種群について、標本庫に収められた標本を用いた形態・胞子形態と稔性の検討、野外現地調査による生材料の収集、染色体観察またはフローサイトメーターの使用による倍数性の判別、葉緑体DNAマーカーと核DNAマーカーを用いた分子系統解析を行い、それらの結果を組み合わせて、生物学的実体を総合的に考察した。新たな実体が認められた群については、分類学的な見直しを行い、新規分類群の記録・記載や、学名の見直しを発表した。いわゆる「網状進化」による種形成ネットワークが存在している種群においては、分類群の認識に不統一や混乱が見られる例が多い。しかし、本研究で、より正確な実体の認識を解明し、さらに分類学的な立場からの再編が行われたことによって、生物学的に意味のある分類の単位が広く認識されるようになることが期待される。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件)
Bulletin of National Museum of Nature and Science, series B
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10.1007/s10265-014-0652-0