研究課題/領域番号 |
24770086
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 北九州市立自然史・歴史博物館 |
研究代表者 |
下村 通誉 北九州市立自然史・歴史博物館, 自然史課, 学芸員 (30359476)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 超寄生 / 等脚類 / 寄生生物 |
研究概要 |
本研究課題は自然界で寄生生物への寄生、つまり超寄生という特殊な生態の生物がいかにして出現したのかを明らかにすること、そして特殊性の解明を通じて、寄生生物の宿主選択の際に起こる適応的進化のプロセスについて一般的考察を与えるというものである。具体的な目的は甲殻類に寄生する甲殻類に寄生する超寄生性の等脚目甲殻類カクレヤドリムシ類を用いて系統仮説を提出し、どのような群から出現してきたのかその起源を明らかにし、進化の過程で起こった宿主選択と形態変化のパターンについて明らかにすることである。 本年度は本研究の4つの段階の内、標本調査と採集調査を重点的に行った。特に当館に収蔵されている十脚類甲殻類コレクションの寄生性甲殻類に寄生している超寄生性甲殻類の探索を行った。また、広島大学附属練習船および長崎大学附属練習船の調査に参加し、日本近海でドレッジ、ビームトロール、ソリネットにより寄生性等脚類の採集を行った他、沖縄本島と西表島にてスキューバダイビングとシュノーケリングにより採集調査を行った。 以上により、多くの超寄生性甲殻類と考えられるものを得ることができた。これらについて、形態を詳細に検討した結果、未記載種と考えられるものが見つかった。分類学的位置について研究を行った結果の一部を日本動物学会にて報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
採集により多くの材料を得たが、まだ当該目的を達成するには十分とは言い難い。故におおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
採集調査については引き続き積極的に行い、材料収集に努める予定である。国内外の臨海実験所や博物館に収蔵されている甲殻類の標本調査を行う他、広島大学附属練習船の調査に参加し、日本近海でドレッジ、ビームトロール、ソリネットにより寄生性等脚類の採集を行う。 系統学的研究を前年度に継続して行う他、採集した標本を形態形質に基づいて分類学的研究を行う。研究は解剖→プレパラート作成→観察→同定→記載の順で進める。実体顕微鏡下で付属肢を電解研磨で鋭く尖らせたタングステン針ではずした後、スライドグラス上にガムクロラールで封入し、微分干渉顕微鏡を用いて形態観察を行う。論文作成・学会発表用に各形質を描画装置を用いてトレースを行い顕微鏡用カメラで撮影を行う。また、走査型電子顕微鏡(現有装置を利用)を用いて微細構造の観察を行う。その結果を基にして未記載種を記載し、既知種を再記載する。
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次年度の研究費の使用計画 |
採集調査および標本調査、学会発表に力を入れるため、研究費の多くを旅費に用いる予定である。また、文献複写や消耗品費にも用いる。高額なものとしては昨年度購入した実体顕微鏡の付属品を購入する予定である。
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