本研究課題は自然界で寄生虫が寄生虫に寄生するという現象、つまり超寄生(重寄生)という特殊な寄生形態がいかにして生じたかを明らかにすることが大テーマである。その特殊性を通じて、寄生生物の宿主選択の特色や過程を考察する。具体的な目的は甲殻類寄生性の甲殻類に寄生する超寄生性の等脚類の特殊な群であるカクレヤドリムシ類を用いて分類・系統学的研究を行い、仮説を提出する。進化の過程で起こった、パターンとプロセスについて考察を行うことである。 本年度は本研究課題の最終年度であり、室内実験や野外採集調査は最小限にとどめる予定であった。しかし、研究に供する標本はこれまでの2カ年で十分量とはいえないため、九州から山口県日本海側沿岸で調査船による採集調査を行った。 以上により、今回新たに貝形虫を宿主とするカクレヤドリムシ類など多くを得た。これらについて、既知種との比較検討を行った。分類・系統学的研究については現在も引き続きまとめている。
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