プロトン輸送性ピロホスファターゼは、ピロリン酸を分解することによって得られたエネルギーを利用し、膜を横切ったプロトンの輸送を行なう膜タンパク質である。本研究ではピロリン酸を結合していない状態の構造をX線結晶解析によって明らかにするため、植物の液胞膜から精製した酵素を用いてピロリン酸を加えない条件下で結晶化を行なった。結晶は、ピロリン酸を結合していない状態の酵素を特異的に認識する抗体断片を用いることにより、抗体断片が酵素に結合した複合体で得られた。最初の結晶はX線を4.1Å分解能まで反射した。結晶化条件とクライオ条件を最適化することにより、得られる分解能を3.2Åまで向上させることに成功した。
|