研究概要 |
平成24年度においてPepTSo-抗体複合体の共結晶の分解能向上を目指したが、結晶化条件に課題が残った。そこで、本課題の対象とした好冷細菌Shewanella oneidensis 由来PEPTホモログPepTSoの結晶構造解析と平行して、さらに別のPEPTホモログの構造解析をすることで、ペプチドトランスポーターの普遍的な基質輸送機構の知見が得られると考えた。共同研究者のNewstead博士は新たにStreptococcus thermophilus由来PEPTホモログPepTSt、植物にシロイヌナズナ由来のPEPTホモログ2種について発現・精製に着手し、一部は構造解析に成功している(Solcan et al., EMBO J. 2012, Parker and Newstead., Nature 2014)。 平成25年度ではこれらのPEPTホモログに対する抗体作製を行い、PEPTホモログと複合体を形成する構造認識抗体を各ホモログに対して数クローンずつ得た。PepTStと抗体との共結晶化において、蒸気拡散法による初期スクリーニングから良好な結晶が多数得られた。大型放射光施設でのX線回折実験により、3.5A前後の回折点が得られた。これらの抗体について、マウスによる腹水作製と抗体IgG精製を行って構造解析を継続するとともに、共同研究者のNewstead博士へ精製IgGを送付して機能および、構造解析中である。 本課題において、PepTSoをターゲットに抗体作製を行う事で、膜蛋白質の構造解析に有用な構造認識抗体作製の技術基盤が構築できた。応用的に他のPEPTホモログに対する構造認識抗体作製や、膜酵素の構造解析に貢献できた(Manolaridis, Ogasawara et al., Nature, 2013)。本課題で確立した膜蛋白質に対する抗体作製技術について論文準備中である。
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