研究課題/領域番号 |
24770096
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
溝端 栄一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90571183)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 |
研究概要 |
植物の二次代謝物を代表するフラボノイド系化合物は7,000以上もの分子種が知られている。これらの生合成を担う酵素の多くは、単独では反応速度が極めて遅い上(毎秒1回転未満)、細胞中の基質濃度も低いために触媒効率が低い。そのため、メタボロンと呼ばれる蛋白質複合体を形成して、低濃度の出発物から最終生成物への平行を右に傾け、効率的な二次代謝物の生合成を達成している。本研究では、ブドウ(Vitis vinifera)のフラボノイド・メタボロンにおいて最終反応を担うフラボノール3位グルクロン酸転移酵素(VvGT5)に着目した。本酵素は単独でも機能を有し、UDPグルクロン酸 (UDPGlcA)のグルクロン酸残基を、ケルセチン(Que)などのフラボノールに転移して、フラボノール3グルクロニドを生成する反応を触媒する。フラボノイド・メタボロン複合体の構造解析を行うには、予め、メタボロン構成要素の各蛋白質の単独での構造解析を先に行うことが近道である。 平成24年度は、VvGT5の反応機構および基質特異性の構造基盤を解明するため、放射光を用いて、次の結晶構造の解析を試みた:①VvGT5と基質アナログUDP-グルコースと基質ケルセチンの複合体(VvGT5-UDPGlc-Que)、②VvGT5と基質アナログUDP-フッ素化グルクロン酸とケルセチンの複合体(VvGT5-UDPGlcA(F)-Que)、③基質認識がUDP-グルクロン酸からUDP-グルコースに変化するR140W変異体とUDP-フッ素化グルクロン酸とケルセチンの複合体(変異型VvGT5-UDPGlcA(F)-Que)。 上述の3種類の結晶構造を2.2~2.4A分解能で構造決定した。今回解析した構造と、すでに構造が報告されているVvGT1との構造を比較することで、VvGT5に特徴的な糖供与体の選択性が生み出される構造基盤を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フラボノイド・メタボロンの構成蛋白質のひとつであるVvGT5の反応機構および基質特異性の構造基盤を解明するために必要な次の結晶構造を決定すること成功した。①VvGT5と基質アナログUDP-グルコースと基質ケルセチンの複合体(VvGT5-UDPGlc-Que)、②VvGT5と基質アナログUDP-フッ素化グルクロン酸とケルセチンの複合体(VvGT5-UDPGlcA(F)-Que)、③基質認識がUDP-グルクロン酸からUDP-グルコースに変化するR140W変異体とUDP-フッ素化グルクロン酸とケルセチンの複合体(変異型VvGT5-UDPGlcA(F)-Que)。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度はフラボノイド・メタボロンの構成蛋白質であるVvFLS1およびVvF3'Hの結晶化と構造解析を目指して実験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に、フラボノイド・メタボロンの構成蛋白質を結晶化するために必要な試薬等の消耗品の購入にあてる予定である。加えて、平成24年度に結果を出すことに成功したVvGT5の結晶構造を報告するための国内・国際学会等に参加するための旅費に用いる。
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