研究課題
植物の二次代謝物の生合成を担う酵素の多くは、単独では反応速度がきわめて遅く、さらに、細胞中の基質濃度も低いために、触媒効率が悪いことが多い。とりわけ、フラボノイド系化合物は7000種以上もの分子が知られているが、これらの生合成を担う酵素はメタボロンと呼ばれる蛋白質複合体を形成して、低濃度の出発物から最終生成物への平衡を右に傾け、効率的な二次代謝物の生合成を行っていると考えられている。フラボノイド・メタボロン複合体の構造解析は非常に興味深いテーマだが、きわめて高難度の試みである。そこで、最初はメタボロン構成要素の各蛋白質の単独での構造を決定することが重要である。平成26年度は、平成25年に引き続いて、ブドウ(Vitis vinifera)由来のフラボノイド・メタボロンにおいて、中間反応を担うフラボノール合成酵素1(VvFLS1)の結晶化条件の最適化を行った。その結果、これまでに分解能3.9Aの回折強度データを収集することに成功した。一方平行して、メタボロン中で出発反応を担うと考えられるシトクロムP450ファミリー蛋白質の一種フラボノイド3'水酸化酵素(VvF3'H)の大腸菌を用いた発現系を種々検討した。その結果、蛋白質のN末端側のアミノ酸残基を欠失させ、替りに可溶性促進ペプチドを融合することで、可溶性画分への発現に成功した。さらに、各種カラムを用いて精製条件を検討し、大量精製系を確立することに成功した。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件)
The Journal of Biochemistry
巻: 157 ページ: 467-475
mvv004
Journal of Bioscience and Bioengineering
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10.1016/j.jbiosc.2014.10.025.