研究課題
C型レクチン受容体ファミリーは、樹状細胞などの抗原提示細胞に発現し、細胞外のレクチンドメインを介して病原体などの糖鎖を認識する。レクチンドメインはわずか130アミノ酸残基と小さく、同じフォールドを持つにもかかわらず、それぞれの受容体が非自己・自己を問わず多様なリガンドをそれぞれ特異的に識別することができる。本研究課題は、この『共通のフォールドでどのようにして多様な認識様式を持つのか』という問題に対して構造生物学を用いて解決を目指すものである。申請者は、この研究目的に則して以下の二つの研究課題を行った。1.DCIR-2レクチンドメインと分岐鎖を持つ複合型糖鎖との複合体の結晶構造解析DCIR-2は樹状細胞に発現しているカルシウム要求性のC型レクチン受容体で、細胞外にレクチンドメインを持つ。共同研究者である東京大学大学院の山本一夫教授らのグループは、このレクチンドメインがバイセクト型糖鎖という特有の糖鎖構造を特異的に認識することを見出した。申請者らは、この糖鎖認識機構を原子レベルで解明するためにリガンド糖鎖との複合体の結晶構造解析を行った。その結果、DCIR-2がα1-3アームをカルシウムを介して結合していること、またバイセクト型糖鎖がアスパラギン酸側鎖によって特異的に認識していることなどが明らかになった。2.BDCA-2レクチンドメインとアシアロ糖鎖との複合体の結晶構造解析BDCA-2はDCIR-2と同じく樹状細胞で働くカルシウム要求性のC型レクチン受容体である。DCIR-2が免疫抑制作用を有するのに対して、BDCA-2は免疫活性作用を有する。BDCA-2は細胞外にレクチンドメインを有し、DCIR-2と高い配列相同性を持つ。申請者はBDCA-2のレクチンドメインの結晶構造解析を行った。その結果、互いにからみあったドメインスワップ構造をとっていることが明らかになった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Proteins: Structure, function, and Bioinformatics
巻: in press ページ: in press
10.1002/prot.24504.
The Journal of Biological Chemistry
巻: 288 ページ: 33598-33610
doi: 10.1074/jbc.M113.513572.