研究課題/領域番号 |
24770115
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
江口 賢史 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70457117)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | イノシトールリン脂質 |
研究概要 |
イノシトールリン脂質は、タンパク質の局在や活性の制御因子で、細胞増殖、アポトーシス、細胞運動などを制御する。ホスファチジルイノシトール3リン酸(PI3P)はこれらの細胞応答を支えるオートファジー、栄養シグナル伝達、小胞輸送などに関与するイノシトールリン脂質分子種であるが、動物個体内での役割はほとんど明らかになっていない。申請者は、PI3P生成酵素であるPIK3C3の遺伝子をCreリコンビナーゼの作用により欠損する遺伝子改変マウスを独自に樹立した。本研究ではmPIK3C3欠損線維芽細胞とT細胞特異的mPIK3C3欠損マウスの表現型を解析することで、未だ不明なmPIK3C3の生理機能について、世界に先駆けて解明することが目的である。最終目標は依然として不明点が多いmPIK3C3の生理機能および機能制御の解明にある。特に「増殖」と「T細胞分化」でのPIK3C3の機能を実証する。 当該年度はB6へのバックスクロスを進めつつ、T細胞特異的mPIK3C3欠損マウスを用いた細胞増殖への寄与の解析、さらに、MEFを用いた細胞応答解析を行い、病態解析への足がかりを作ることを目指した。まず、細胞増殖はMEFおよびT細胞において、顕著に抑制されることが明らかになった。また、アポトーシス誘導剤を用いた解析からは有意な差は認められなかった。機序のひとつとしてTCR刺激を介したAktのリン酸化が抑制されていた。これら結果からPIK3C3が細胞増殖を正に制御していることを示唆しているものと考えられる。 B6へのバッククロスは終了し、病態への解析を進めているところであるが、当初想定していた腸炎のみならず、多臓器にわたる炎症が認められた。これらの炎症が自己免疫疾患である可能性を示唆する結果を得ており、解析中である。これらの解析を通じて、自己免疫疾患発症機序の一端を解明できればと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に計画した研究計画は終了しており、すでに次年度に計画した研究を引き続き行っている。
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今後の研究の推進方策 |
研究予定通りに進んでいるが、予定計画の一部に記載したアレルギー関係の実験に関しては行わない事とする。何故なら、Th分化アッセイおよび血中のサイトカイン濃度の測定結果からアレルギー疾患に関与する可能性が極めて低い事が明らかになったからである。一方、IL17A産生亢進とTh17細胞への分化亢進は認めたことから、今後は自己免疫疾患の発症機序についてTh17細胞への分化亢進の原因を明らかにする研究をメインに行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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