研究課題/領域番号 |
24770116
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
船越 祐司 筑波大学, 医学医療系, 助教 (30415286)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | アミロイドβ / 膜輸送 / 低分子量G蛋白質Arf6 / リン脂質キナーゼPIP5K |
研究概要 |
本研究は、Magalin, LRP1を介したアミロイドβの排出機構へのArf6, PIP5Kの関与を検討し、そのメカニズムの解明を目的とする。平成24年度は、主に培養細胞を用いてMegalin, LRP1とArf6, PIP5Kとの結合様式の検討、および、Megalin, LRP1の細胞内への取り込みとその後の細胞内トラフィッキングにおけるArf6, PIP5Kの関与について解析を行った。 Megalinの細胞内ドメインには、3つのNPXYモチーフが存在する。このモチーフには、エンドサイトーシス関連因子が結合し、細胞内への取り込みや細胞内での輸送の制御に関わることが知られている。この3つのモチーフうち、最もN末端側(細胞膜側)にArf6,PIP5Kが結合することを明らかにした。また、Arf6の不活性型変異体の過剰発現により、取り込まれたMegalinが細胞内の微小構造に蓄積することを見出した。この結果は、Arf6が、取り込まれたMegalinのリサイクリングや分解の場であるリソソームへの輸送に関わっていることを示唆している。さらに、Arf6をノックダウンすることにより、Megalinの発現量が増加することを見出した。以上の結果より、Arf6はMegalinのNPXYモチーフに結合し、細胞内におけるリソソームへの輸送に関与していることが想定される。今後は、そのメカニズムの解明とともに、アミロイドβをはじめとしたリガンドの輸送、シグナル伝達への影響を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、培養細胞において各因子(Megalin, LRP1, Arf6, PIP5K)の結合様式の解析、Megalin, LRP1のエンドサイトーシス、トラフィッキングへのArf6, PIP5Kの関与を検討する予定であったが、巨大分子であるMegalin, LRP1の発現系、検出に手間取り、解析がやや遅れてしまう結果となった。現在は、発現系は構築でき、Arf6の関与を示唆する結果を得ることができたが、分子メカニズムの解明にまでは至っていない状況である。加えて、本年度は研究代表者が海外に長期出張していたため、トラブルへの対処が遅れてしまったのも一因と考えられる。次年度は、上記のような問題は解消できていることから、急ぎ解析を進め、予定していた研究計画を遂行していきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
Arf6のMegalinの細胞内輸送への関与が示唆されたことこから、Megalin、さらにはLRP1のArf6による輸送制御のメカニズムの解明を培養細胞を用いて進めていく。さらには、その際にPIP5KもArf6と共に働くのかを検討する。また、メカニズムの解明と並行して、in vitro脈絡叢モデル系を用いて、実際にArf6, PIP5Kが、Megalin, LRP1を介してアミロイドβの取り込み、輸送に関与するかを検討する。脈絡叢モデルとしては、ラット脈絡叢由来TR-CSFB細胞(東北大学大学院薬学研究科 寺崎哲也教授よりご供与)を用い、脳脊髄液関門のモデルとする予定である。また、Arf6-Floxマウス、PIP5Kノックアウトマウスより細胞を単離し、Arf6,PIP5Kの関与を検討していく。さらには、遺伝子改変マウスを用いて、個体レベルにおいてArf6, PIP5Kがアミロイドβの輸送に関わるのかの検討を行っていく予定である。 なお、本研究では以下の3名の大学院生を研究協力者として参画させる予定である。 筑波大学大学院人間総合科学研究科 博士過程1年 山内庸平、修士課程1年 宮地泰人 筑波大学ヒューマンバイオロジー学位プログラム2年 三浦悠樹
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、研究代表者が長期海外出張中であったため、予定していた研究の一部を遂行できず、また、学会参加も一部取りやめたため、次年度への繰り越しが生じる結果となった。 繰り越した予算については、次年度以降も引き続き培養細胞を用いた解析を継続していくため、主に、細胞培養関連試薬、遺伝子工学関連試薬の購入に使用していく予定である。次年度に新たに請求する研究費については、同様に細胞の培養に掛かる費用に使用するとともに、実験動物の購入費、維持・管理費にも使用していく予定である。また、研究成果を国内外の学会にて発表予定のため、出張旅費にも使用予定である(旅費は、本年度からの繰り越し分もあてる予定)。研究を進める上で必要な機器類・設備は、所属研究室、あるいは所属機関の共通機器として揃っているため、大型機器の購入費に使用する予定はない。
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