研究概要 |
平成26年度は、培養細胞を用いて、引き続きMegalin、LRP1の細胞内への取り込みと、その後の細胞内輸送におけるArf6、PIP5Kの関与について解析を行った。 通常、受容体などの細胞膜タンパク質は、エンドサイトーシスによって細胞内に取り込まれ、初期エンドソームに取り込まれた後、リソソームへと運ばれ分解されるか、あるいは細胞膜へと再度リサイクリングされる。そこで、初めにMegalin, LRP1の取り込みへのArf6の関与を検討した。Arf6をノックダウンしたHeLa細胞において、細胞膜表面のMegalin, LRP1をビオチンにてラベルし、細胞内への取り込みを測定した。その結果、コントロールとノックダウン細胞との間で、両者の取り込みに顕著な差は認められなかった。さらに、Megalin、LRP1のリサイクリングを検討したところ、こちらもArf6ノックダウンによる影響は認められなかった。しかしながら、MegalinおよびLRP1の発現量を解析したところ、Arf6をノックダウンした細胞では、両者の発現量が著しく増加していた。このことから、Arf6はMegalin、LRP1の安定性制御に関わっている可能性が考えられた。さらに、Arf6をノックダウンした細胞において、Megalin、LRP1の細胞内での局在を解析したところ、取り込まれたMegalin、LRP1が細胞内の微小構造に蓄積しているのが観察された。このような細胞内の蓄積と発現量の増加は、Arf6の不活性型変異体の過剰発現でもみられた。 以上の結果より、細胞内に取り込まれ、リソソームにおいて分解されるよう決定付けられたMegalin、LRP1が、リソソームへと輸送される過程においてArf6の活性化が必要と考えられる。
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