研究課題/領域番号 |
24770117
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
新家 弘也 筑波大学, 生命環境系, 特任助教 (30596169)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | セレン / 輸送体 / セレン含有化合物 / 円石藻 / セレノシステイン |
研究概要 |
当該年度は、円石藻Emiliania huxleyiの亜セレン酸輸送体を同定することを目指すと共に新規Se再利用系を解明することを目的とした。まず、1. 亜セレン酸輸送体候補遺伝子9つについて、in vitro合成系の構築、2.放射性亜セレン酸でSe蓄積化合物をラベルし、Se蓄積化合物の放射性亜セレン酸をトレースすることでその動態の解明、及びそれら化合物の同定を目指した。 項目1については、候補遺伝子9つのうち8つについて全長配列を決定した。その後、in vitro合成系やカエルの卵母細胞を用いた発現系に使用するベクターに組み込む、候補遺伝子の配列をクローニングした。次に、それぞれのベクターに候補遺伝子を組み込み、発現系の構築を試みる予定である。 項目2については、E. huxleyiの細胞内成分を放射性のセレンでラベルした後、薄層クロマトグラフィーを用い、蓄積化合物を分離した。少なくとも5つの化合物(LMW1~5)がスポットとして検出された。また、動態を調べるトレース実験より、LMW4と5が蓄積プールとなっており、Se欠乏時に利用される形態であることが推定された。そのため、LMW4、5が新規Se再利用系の解明に重要な化合物であると考えられる。そこで、これらLMWを薄層プレートより削り出し同定を試みたが、不純物が多く同定には至らなかった。また、液体クロマトグラフィーを用い、これら化合物の分離を試みているが、成功には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
項目1については、亜セレン酸輸送体の候補遺伝子の全長配列を決定後、全長配列を増幅するのが予想以上に困難であったため、断片配列を増幅後全長配列を構築する等予定外の手間がかかったため。 項目2については、LCとMSの間でサンプルを分岐させ、RI検出器を設置することで放射性Seでラベルした蓄積Se含有化合物を効率よく検出するシステムの構築が困難であったことから、それぞれを別々に行っているため。
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今後の研究の推進方策 |
項目1の亜セレン酸輸送体の同定については、候補遺伝子の発現系構築を全力で行う。亜セレン酸輸送活性の評価は、in vitro合成系では候補遺伝子を発現したリポソーム内への放射性亜セレン酸の取り込みで行う。カエルの卵母細胞を用いた発現系では、電気生理学的に評価する。更に、プロトン勾配の影響を見るためpHを変化させたり、競合阻害剤としてリン酸や亜硫酸のを用いることで、より詳細に申請者が明らかにした特性と比較する。 項目2の蓄積Se含有化合物の同定及び動態の解析については、LC/MSを用いた蓄積Se含有化合物の同定を試みる。また、薄層プレートから削り出した蓄積Se含有化合物それぞれを細胞に添加し、何に代謝されるかトレース実験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
in vitro翻訳用試薬、放射性亜セレン酸、分離用カラムの購入に使用する予定である。
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