本年度は、好熱菌由来tRNA成熟マシナリーの構造解析および生理機能解析を行った。 Tko Trm11のX線結晶構造を1.8Å分解能で決定することに成功した。また、メチル基受容体であるS-アデノシルメチオニン(SAM)との複合体であるTko Trm11-SAMのX線結晶構造も決定した。その結果、Tko Trm11は、N末端側にRNA結合ドメインであるTHUMPとC末端側にロスマンフォールド型の触媒ドメインを持つことが明らかになった。変異体解析を行った結果から、SAMとの結合に重要なアミノ酸残基と基質tRNAの認識に重要なアミノ酸残基を同定することができた。これらの結果から、Tko Trm11の基質認識機構を提唱するに至った。一方、Tko Trm11の遺伝子破壊株(⊿trm11)を構築することができた。⊿trm11の生育特性解析を行ったところ、高温環境下において⊿trm11は野生株に比べて生育が著しく減少した。その原因をしらべたところ、m22G10の修飾塩基がtRNAの耐熱性に大きく寄与していることが明らかになった。
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