mTORC1キナーゼ阻害剤であるラパマイシンは、その抗がん剤としての作用に注目が集まるものの、mTORC1抑制以下の詳細な作用機序は不明であった。申請者は高感度リン酸化プロテオミクス解析により、のべ20000を超えるリン酸化について解析し、mTORC1キナーゼに制御されるリン酸化を新規に30分子同定した。その中でも転写因子であるFOXK1の活性化を突き止め、その下流で炎症性ケモカインであるCCL2が転写されることが分かった。すなわち新規シグナル経路としてmTORC1-FOXK1-CCL2経路を見出した。この新規経路の重要性を癌の促進の側面から解析した結果、様々な癌で高頻度に見られるmTORC1の異常活性化が、腫瘍随伴マクロファージ (TAM) の浸潤を誘導するという新規の知見を見出した。
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