研究概要 |
Pex5pはペルオキシソームマトリクスタンパク質輸送の中心的分子である。申請者は、Pex5pの保存されたシステイン残基がチオエステル結合を介したモノユビキチン化修飾(Cys-Ub化と略)されることを見出し、このPex5pの独特なUb化修飾がマトリクスタンパク質輸送に必須であることを明らかにした。本研究では、Pex5pのCys-Ub化修飾の分子基盤、および一般的なリシン残基ではなくシステイン残基のUb化が必須である生理的意義を解明し、「Ub化以外のシステイン残基修飾によるPex5pのCys-Ub化およびマトリクスタンパク質輸送の制御」という作業仮説を検証する。本年度はPex5pのCys-Ub化修飾に必要な分子群の探索を行い、ペルオキシソーム欠損性CHO変異細胞のペルオキシソーム画分の解析から、RINGペルオキシンがCys-Ub化に必要であることを見出した。これまでの研究で、RINGペルオキシンのうちPex10p/Pex12p複合体がPex5pのリシン残基をUb化修飾する活性を検出しており、同じE3が異なる様式のユビキチン化修飾を触媒することが強く示唆された。また、Pex5pのCys-Ub化に特異的に機能するE2の同定も試みている。一方、Pex5pのCys-Ub化修飾が細胞内環境変化と関連することを示唆する結果が得られてきている。Pex5pのシステイン残基を介した新たな制御機構の可能性を示すもので、詳細な解析を行う予定である。関連する研究成果として、新規に分離したPEX5欠損性CHO変異細胞を用いた解析によりPex5pの新たな機能を見出し、国際誌Biochemical Journalに発表した(Natsuyama R, Okumoto K, Fujiki Y. Biochem. J. 449, 195-207 (2013))。
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