研究課題
本課題では、基幹的糖鎖構造の一つであるポリラクトサミン糖鎖合成に関与する糖転移酵素、β1,3- N-アセチルグルコサミン転移酵素2(β3GnT2)遺伝子ノックアウトマウス(B3gnt2 KOマウス)と野生型マウスから、それぞれ糖鎖キャリア分子(糖ペプチド)をポリラクトサミン糖鎖に特異的な結合をするレクチンを用いて捕集し、これらの比較グライコプロテオーム解析を行うことにより、β3GnT2に特異的な標的タンパク質の大規模同定を進める。昨年度までに、ポリラクトサミン糖鎖のキャリア糖タンパク質を効率的に捕集するための系(レクチンアフィニティーなどによる捕集の系)の構築、最適化と確認を行ってきた。ポリラクトサミン糖鎖を持つキャリア分子を捕集するために、レクチンを用いてアフィニティーカラムを作製し、これを用いて野生型マウスB細胞や脾臓細胞の細胞抽出物を濃縮・解析した結果、270以上のポリラクトサミン糖鎖キャリアタンパク質候補分子を同定した。また、同定されたこれらの分子がポリラクトサミン糖鎖欠損を含むかどうかについて、幾つかの分子について生化学的に確認した。得られたキャリア分子群の情報(リスト)から、KeyMolnetおよびDAVID等によるGene Ontology解析(分子の局在・性状解析、及びネットワーク解析)によって傾向性を見たところ、約7割の分子は膜タンパク質であり、細胞表面の受容体分子・細胞接着に関与する分子が多く含まれていた。また、野生型マウスとB3gnt2 KOマウスの脾臓細胞由来膜タンパク質画分を用いて、2次元電気泳動による比較解析での検討を行った結果、多くのタンパク質のバンド位置の差が認められた。このことからもポリラクトサミン糖鎖はその多くが細胞膜表面の糖タンパク質上に結合している可能性が高いことが考えられた。
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Glycobiology
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