研究課題
ミオシン6とミオシン10は、細胞内で小胞輸送や、特定の構造を保持するためのアンカーとして機能しているミオシンである。これらのミオシンは脚が短いにも関わらず、アクチン繊維上を大きな歩幅でプロセッシブ運動できることが報告されている。しかし、それらがアクチン繊維と相互作用しているときの明瞭な構造証拠は得られていない。そこで、本研究では高速原子間力顕微鏡を用いて、運動中のミオシン6と10の構造形態変化を直接観察することで、その構造的証拠を提出し、それぞれのミオシンの機能メカニズムを詳細に解明する課題に取り組んだ。結果、どちらのミオシンにおいてもアクチン繊維に沿って、大きな歩幅で動いたり、小さな歩幅で動いたりする様子をビデオ撮影することに成功した。ここで、大きな歩幅は、これまで報告されているSAH(single alpha helixの略)ドメインと矛盾しない形状を持った部位で実現されていることを直接可視化した。この成果は、当該分野において、アクチン繊維と結合しているこれらのミオシンの姿が詳細に得られていない中で、画期的な成果といえる。また、どちらのミオシンも、脚の長いプロセッシブなミオシン5よりも頻繁に前足が解離し、イレギュラーな運動を起こしやすかった。これは、ミオシン6や10では、2つの足が柔らかいSAHドメインでつなげられているために、分子内張力による2つの足のキネティクスの非対称性の度合いが低くなっているためだと考察された。このことは、従来の生物物理学的手法で予想されていたが、ここではそれを説明する構造証拠を得ることができた。また、ミオシン10においては、ファシンでバンドル化したアクチン繊維上(生体内で機能している環境に近い)を運動する様子も観察することにも成功した。現在これらの内容をまとめた論文を執筆中である。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 4件) 図書 (1件) 備考 (4件)
PLoS biology
巻: 13 ページ: e1002121
10.1371/journal.pbio.1002121
eLife
巻: 4 ページ: e04806
10.7554/eLife.04806
Journal of Molecular Biology
巻: 427 ページ: 406-414
10.1016/j.jmb.2014.11.007
Biophysical Reviews
巻: 6 ページ: 237-260
10.1007/s12551-014-0141-7
Nature Communications
巻: 5 ページ: 4394
10.1038/ncomms5394
The Journal of Biological Chemistry
巻: 289 ページ: 21627-21639
10.1074/jbc.M114.554998
日本物理学会誌
巻: 69 ページ: 459-464
http://www.s.kanazawa-u.ac.jp/phys/biophys/index.htm
http://www.se.kanazawa-u.ac.jp/bioafm_center/index.htm
http://ridb.kanazawa-u.ac.jp/public/detail.php?id=3403&page=1&search=1&keyword=Kodera&andor=AND&tgt1=1&tgt2=&tgt3=&tgt4=
http://www.se.kanazawa-u.ac.jp/tenure/staff/kodera.html