研究課題
当該年度は、前年度に見出した、新規超解像顕微鏡法の確立とその生物観察応用研究に取り組んだ。本手法では、光スイッチ蛍光タンパクの可逆的蛍光遷移効果において、蛍光活性・不活性状態間の遷移の過渡応答の非線形応答特性を利用して、光学分解能の向上を図る。これにより、従来のSTED法やRESOLFT法で必要であったドーナツ型ビームを必要としない、超解像顕微鏡法を実現できると考えた。また、従来の方法では飽和を必要としているため、高強度のレーザー照射が必要であり光ダメージや三重項準位への遷移の問題が不可避であったが、新手法では、この問題を回避できる。前年度までに構築した理論を実験的に実証すべく、時間的に強度変調した活性化光を試料分子に入射して、活性化の過渡応答の時間領域でのフォトンを検出して、蛍光分子をイメージングした。試料として、精製した光スイッチ蛍光タンパクをラテックスビーズ(直径100nm)表面にコートしたものを用いた。この結果、従来のレーザー走査顕微鏡と比べて、空間分解能が2倍以上向上することを示した。これは、本手法により二次の非線形性が得られるという理論的な予測と矛盾しない結果である。開発したイメージング法を生細胞イメージングに応用した。微小管に光スイッチ蛍光タンパクを発現させた細胞を観察し、従来技術よりも高分解能な蛍光イメージングを実現した。さらに、活性化光と不活性化光の両方を交互に照射すれば、三次の非線形性が得られ、空間分解能をより向上できることを理論シミュレーションにより示した。
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