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2012 年度 実施状況報告書

DNA合成反応の可視化技術を基としたタンパク質複合体の精密挙動解析

研究課題

研究課題/領域番号 24770164
研究種目

若手研究(B)

研究機関群馬大学

研究代表者

大重 真彦  群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00451716)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードDNA / タンパク質 / 可視化技術 / モニタリング / 表面修飾
研究概要

【各種DNA代謝関連因子の蛍光標識法】
DNA代謝酵素と蛍光タンパク質との融合タンパク質発現系を構築した。緑色蛍光タンパク質(GFP)とRecAおよび黄色蛍光タンパク質(YFP)とReplication Protein A(RPA)70kDaの1本鎖DNA(ssDNA)結合ドメインを融合させるタンパク質発現ベクターを構築し、RecA-GFPとRPA-YFPの調製に成功した。また、RecAのssDNA結合部位である24アミノ酸残基ペプチドと蛍光化合物(Atto488)を化学修飾した蛍光ペプチド(ssDNA Binding Peptide-Atto488: ssBP-488)を調製した。
【微細流路中でのssDNA可視化技術の確立】
RecA-GFP、RPA-YFP、ssBP-488はssDNA結合活性をもつことを確認した。その後、微細流路中に片端固定したssDNAの可視化法を検討した。その結果、RecA-GFPおよびssBP-488はssDNAとの相互作用が非常に強く、2M NaClを含む緩衝液でも解離することなく可視化できた。また、RPA-YFPはssDNAを可視化後、短時間はssDNA全長を可視化できたが、緩衝液の流れにより自由端から解離した。そのため、片端固定したssDNAの自由端側にオリゴDNAをアニールした短い2本鎖DNA部位をもつssDNAを可視化すると、RPA-YFPを安定的に可視化でき、0.1 M NaClを含む緩衝液で解離した。
【まとめ】
RecA-GFP、RPA-YFP、ssBP-488を用いた微細流路中でのssDNAの可視化条件を決定した。RecA-GFPおよびssBP-488とRPA-YFPは異なる性質を持ち、RecA-GFPおよびssBP-488は不可逆的なssDNAの可視化に、RPA-YFPは可逆的な可視化に使用可能であることを論文として報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

微細流路中でのssDNAの可視化条件を決定することができた。RecA-GFPおよびssBP-488とRPA-YFPは異なる性質を持ち、RecA-GFPおよびssBP-488は不可逆的なssDNAの可視化に使用出来るがDNA合成反応の可視化には不向きであった。しかし、RPA-YFPは可逆的な可視化に使用可能であり、DNA合成反応の可視化に使用可能であることを確認した。現在は、既に1分子解析技術によるDNA合成反応の解析に着手しており興味深い結果を得始めた。

今後の研究の推進方策

【現在までの達成度】で述べた通り、RPA-YFPの1本鎖DNA可視化により、DNA合成反応中にRPA-YFPの解離を観察する実験については、興味深い実験結果が出始めている。データを取り終わり次第、速やかに標識DNAポリメラーゼの調製実験を開始する予定である。また、DNAポリメラーゼのみならず、細胞増殖核抗原(PCNA)等をはじめとする観察に必要なDNA代謝関連因子について、平成24年度で確立する蛍光DNAポリメラーゼ反応の可視化技術を用いて、様々な鋳型を用いた各種DNAポリメラーゼによるDNA合成反応の1分子解析を行う。順調に研究が進めば、DNA複製フォーク構造を持つ鋳型DNAを用いることにより、DNA複製フォーク中でのDNAポリメラーゼの挙動解析を行うための準備を行う。具体的には、DNA複製フォーク状のDNAのdsDNA部位を片端固定すると、ssDNA部位が溶液の流れで絡まってしまう可能性がある。そのため、SV40 Large T抗原やDNAヘリカーゼ等をガラス基板に活性を有する状態で配向性を持たせ固定することにより、DNA複製フォーク状DNAを安定的に固定可能であると考えており、この方法を中心としたDNA複製フォーク状DNAの固定化法の開発にも着手する。既に、活性を保持したままガラス基板にタンパク質を固定化する技術は開発しているため、その方法を応用することを考えている。

次年度の研究費の使用計画

DNA合成反応の可視化について、RPA-YFPおよび蛍光標識DNAポリメラーゼの2種類の検討を行う予定であった。【現在までの達成度】に述べた通り、RPA-YFPの1本鎖DNA可視化後、DNAポリメラーゼによるDNA合成反応に伴うRPA-YFPの解離を観察する実験が順調に進展したため、この実験を優先的に進めることにした。そのため、蛍光標識DNAポリメラーゼの調製を次年度に持ち越すことにし、蛍光標識DNAポリメラーゼの調製用試薬の研究費を次年度に持ち越した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Direct Observation of Fluorescently Labeled Single-stranded λDNA Molecules in a Micro-Flow Channel.2013

    • 著者名/発表者名
      Takahashi S, Kawasaki S, Yamaguchi K, Miyata H, Kurita H, Mizuno T, Matsuura SI, Mizuno A, Oshige M, Katsura S.
    • 雑誌名

      Journal of Fluorescence

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1007/s10895-013-1210-1

    • 査読あり
  • [学会発表] 微細流路中での1本鎖DNA認識ペプチドを用いた1本鎖DNAの直接観察法

    • 著者名/発表者名
      高橋俊介、川崎祥平、山口晃史、宮田英史、栗田弘史、水野武、松浦俊一、水野彰、大重真彦、桂進司
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡県

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公開日: 2014-07-24  

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