減数第一分裂から第二分裂へと移行する過程において、姉妹動原体ペア間の接着は解離することが知られている。本研究では、動原体マーカーEGFP-CENP-Cと染色体マーカーH2B-mCherryをコードするRNAをマウス卵母細胞にマイクロインジェクションし、ライブイメージングを行った。動原体を3Dトラッキングし、姉妹動原体ペア間の距離の変化を計測したところ、第一分裂後期への進行と同時に姉妹動原体ペア間の接着の解離が開始し、1分以内にほぼ完了することが分かった。次に、姉妹動原体ペアを解離させる実行因子の候補である、セパレースの活性が動原体において存在するかを検討した。セパレース標的配列を含む染色体接着因子コヒーシンRec8サブユニットの断片の両端にEGFPとmCherryをそれぞれ融合させ、mCherryには更に動原体タンパク質CENP-Cを融合させた。このEGFP-Rec8-mCherry-CENP-CをコードするRNAを卵母細胞に発現させ、動原体におけるセパレース活性を測定した。その結果、セパレースは動原体部位において第一分裂後期開始のおよそ3分前に活性化し、その後およそ10分かけてRec8を切断することが分かった。さらに、微小管マーカーおよび微小管重合中心マーカーを用いて、第二分裂における紡錘体形成の過程を定量的に解析した。第一分裂では両極性紡錘体の形成の前に、ボール状の非極性紡錘体が遷移的に現れるが、第二分裂ではこのボール状紡錘体が観察されず、第一分裂と比較して迅速に両極性紡錘体が形成することが分かった。姉妹動原体ペアの接着の解離と、紡錘体形成の間の機能的相関の有無について検討することが今後の課題となる。
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